やがて本気で好きになります

第50回
クリエイターを刺激しつづけるジャケットアート

先日紹介した、ビリー・ホリデイに魅せられて、
朝昼晩と聴きまくっている人の職業は、
広告制作を手がける事務所の社長です。

ファッションから
テレビ局の番宣(番組宣伝)までを幅広く手がける事務所で、
彼は広告の制作をしています。

デザイナー、コピーライター、カメラマンなど、
いわゆるクリエイティヴな仕事をされている方には
ジャズ好きが多いように感じます。

即興演奏が主体となるジャズという音楽は、
ある意味、過激なクリエイティヴ行為だともいえるし、
ジャズ特有の“カッコよさげな雰囲気”が
クリエイターの琴線を刺激するのかもしれません。

またジャケットのデザインも秀逸なものが多いのも
ジャズの特徴とも言えます。

仕事柄、様々なデザイナーとのお付き合いがあるのですが、
デザイン事務所にお邪魔をした際、
必ずといって良いほど本棚に収まっている本、
いや、写真集があります。

ブルーノートのカバーアート集です。

ブルーノートというレーベルのジャケットは、
デザイナーを刺激する要素が一杯。

以前も触れた、写真の大胆なトリミングはもとより、
センス溢れるタイポグラフィも
大いにデザイナーを触発するのではないでしょうか。

タイポグラフィとは、活字のレイアウト、デザインのことですが、
これはなかなか簡単なようで難しい技術なのです。

単に文字を並べるだけではありません。
書体の選別から(欧文にはたくさんの書体がありますからね)、
大きさ、配列のバランス、写真やイラストとの兼ね合いなど、
様々なことを考えなければなりません。

文字に注意をしてジャケットを観察すると、
じつに様々なことが見えてきて興味深いものがあります。

ひとつだけ例を挙げましょう。
ハイヒールのジャケットで有名な『クール・ストラッティン』です。
おそらく皆さんは
印象的なハイヒールを履いた女性の脚の写真に
目が行くことと思います。

クール・ストラッティンとは「気取って歩く」。
まさに、曲タイトルの意味を汲んだビジュアルですね。

しかし、タイトルの意味を反映しているのは、
写真だけではありません。
ジャケット上の文字にも注目してみましょう。

段違いに並んでいる文字、
歩いているようには見えませんか?
文字の配列が、写真に躍動感を与えているのです。

このような、タイトルや曲(商品)の意味を汲んだアートワークは、
まさに、デザイナーが発注主から求められることです。

だからこそ、
ブルーノートのカバーアート集を買い求めるデザイナーが
多いのかもしれませんね。

――――――――――――――――――――――――――――

『ブルーノート
アルバム・カヴァー・アート〈VOL.2〉』

 


ブルーノートのカヴァーアート集。
CDサイズのビジュアルに慣れた目には、見慣れたジャケットも新鮮に見えます。
めくるだけで時間を忘れてしまうほど。


『クール・ストラッティン』
ソニー・クラーク

1.クール・ストラッティン
2.ブルー・マイナー
3.シッピン・アット・ベルズ
4.ディープ・ナイト


あまりにも有名なジャケット。
写真だけではなく、よく見ると文字も歩いているタイポグラフィが秀逸です。

←前回記事へ

2005年12月14日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ