やがて本気で好きになります

第55回
ブルーノートを支えたテナー奏者

ブルーノートは、
オーナー兼プロデューサーのアルフレッド・ライオンの
個性や理念が強力に反映されたレーベルではありますが、
様々な人々の支えと協力で成り立っていたこともまた事実です。

たとえば、サックス奏者のアイク・ケベック。

彼のブルーノートへの貢献度ははかり知れません。

レーベルを立ち上げたての頃のライオンは、
まだまだ、熱心なジャズファンの延長状態です。
まだ肝心なジャズマンとのツテが、あまりありませんでした。

どんなジャズマンがいまシーンで熱いのか。
お勧めのジャズマンは誰で、誰を録音したら良いのか。

まだ、人脈も、現場の生の情報も心もとない彼に
様々なジャズマンを紹介したのが、アイク・ケベックなのです。
当時、まだ無名だったセロニアス・モンクを
ライオンに紹介したのも彼です。

彼はテナーサックス奏者でしたが、
同時に、有能なドライバーでもありました。

ブルーノートのレコーディングは、
おもに録音技師、
ルディ・ヴァンゲルダーのスタジオで行われていましたが、
ケベックは、そのスタジオまで、
ジャズマンたちを連れてゆくドライバーもしていたのです。

ジャズのレーベルを立ち上げたばかりの右も左も分からない白人と、
レコーディングの場を求めている
現場の黒人ジャズマンたちの橋渡し役を
アイク・ケベックは買ってでていたのですね。

ちなみに、彼のリーダーアルバムも、
ブルーノートから数枚出ています。

男くさく、骨太なプレイスタイルですが、
彼のサウンドは、
どこまでもウォームでリラックスしているところが魅力です。

私は、フレディ・ローチというオルガン奏者と共演した
『春の如く』というアルバムをよく聴きますが、
このほんのりと暖かいサウンドを聞くたびに、
彼の暖かく穏やかな人柄に触れる思いです。

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『春の如く』
アイク・ケベック

1.春の如く
2.ア・ライト・リプリーヴ
3.イージー・ドント・ハート
4.ラヴァー・マン
5.オール・マン・リヴァー
6.ウィロー・ウィープ・フォー・ミー


ソウルフル、かつウォームなテナーを心行くまで堪能できる一枚。

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2005年12月26日(月)

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