やがて本気で好きになります

第56回
ブルースが好きだったライオン

もう少し、ブルーノートの話を続けます。

今回は、「ライオンのブルース好き」についてです。

ブルーノートの、
オーナー兼プロデューサーのアルフレッド・ライオンは、
大のブルース好きでした。

キッカケは、
ニューヨークにやってきたカウント・ベイシー楽団でした。

まだ、レーベルを立ち上げる前のこと、
カンサスからやってきた
カウント・ベイシーの楽団が演奏するブルースを聴いたライオンは、
彼らが生み出す素晴らしいノリと、
モダンなテイストに心底痺れてしまいました。

これがキッカケでライオンは大のブルース好きになります。

レコーディングの際も、
彼はジャズマンにブルースをよくリクエストしました。

リクエストするだけではなく、
レコーディング前にはブルース曲の作曲も宿題として出したのです。

彼に言われるまま、数々のブルース曲を書き、演奏し、
その中でも《ブルース・ウォーク》という曲をヒットさせたのが、
ルー・ドナルドソン(as)です。

また、ピアニストのホレス・シルヴァーは、
メカニカルなフレーズを速く弾くのが得意でしたが、
彼は常にライオンから
「もっとブルージーに弾け」とアドバイスされていたそうです。

このお陰で、
彼のピアノのスタイルがメロディアスな方向に変わってゆき、
作る曲も親しみやすい内容に変化していったのです。

彼は、いくつものヒットナンバーを生み出していますが、
中でも、《ソング・フォー・マイ・ファーザー》の
ヒットが有名ですね。

ルー・ドナルドソンにしろ、ホレス・シルヴァーにしろ、
ライオンのアドバイスに従ったお陰で、
独自のスタイルに磨きをかけ、
安定した人気を獲得することが出来たのです。

ライオンのブルース好きが、思わぬ良い結果をもたらしたのです。

ほかにも、本国アメリカではヒットしませんでしたが、
ソニー・クラークの《クール・ストラッティン》も、
日本では大人気のブルース。
ブルーノートを代表する名ブルースのひとつです。

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『ブルース・ウォーク』
ルー・ドナルドソン

1.ブルース・ウォーク
2.ムーヴ
3.ザ・マスカレード・イズ・オーヴァー
4.プレイレイ
5.オータム・ノクターン
6.コーリン・オール・キャッツ


ルー・ドナルドソンを代表する一枚。哀感迫る《ブルース・ウォーク》が最高です。


『ソング・フォー・マイ・ファーザー』
ホレス・シルヴァー

1.ソング・フォー・マイ・ファーザー
2.ザ・ネイティブス・アー・レストレス・トゥナイト
3.カルカッタ・キューティ
4.ケ・パサ
5.ザ・キッカー
6.ロンリー・ウーマン


こちらは、ホレス・シルヴァーの代表作。
ラテンタッチのエキゾチックなメロディで、ポルトガル出身のお父さんに捧げた曲がヒットしました。

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2005年12月28日(水)

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