やがて本気で好きになります

新年の挨拶

読者の皆様、新年明けましておめでとうございます。

これを書いているのは、年末のクリスマス前ですが、
おそらく今頃の私は、
女房の実家でノンビリと新年を過ごしていることでしょう。

結婚して今年で10年になりますが、
毎年、恒例行事のように、元旦と2日は、
互いの実家に挨拶しに行くことになっています。

元旦は女房の実家に行きます。
千葉県なので、我が家から電車で1時間ちょっとのところです。
昼間に訪問し、新年の挨拶の後は、飲んで食べて、夜には帰宅。

2日目は私の実家です。
自宅からタクシーで2メーター、歩いて15分ぐらいの近所なので、
昼に行って飲み食いしたら3時間ほどで家を後にします。
近所に大きな神社があるので、
お参りをしてから帰ることにしています。

このようなパターンの生活を
かれこれ10年繰り返しているわけですが、
互いの実家が自宅の近くにあることが、
このときほど有難く感じることはありません。
渋滞や混雑の心配もなく、気軽に移動できるし、
実際電車も空いています。
家の近所はどこへ行ってもガラガラ。
ちょっと淋しいですが、一瞬、
街が自分の貸切りになったような錯覚に陥らせてくれるのです。

互いの実家に行き来して最近気がついたのですが、
それぞれ自分の実家に戻ると、
言葉遣いが乱暴になっているんですよ。
「うるせーなー」とか、「知らねぇよ、んなこと」みたいに、
両親や兄弟に対する気安さもあるんでしょうが、
普段は夫婦同士では交わさない乱暴な言葉遣いを
両親や兄弟にはしているのですね。

私だけではなく、女房も妹や弟には結構乱暴な口調で話しています。
「え?彼女、こんなに荒っぽかったの?!」と驚くほど。

長年一緒に暮らしてきた気安さが、
乱暴な言葉遣いにさせるのでしょうが、
じゃあ10年間一緒に暮らしている我々夫婦は、
まだ気安く話せない間柄じゃないのかというと、
そんなことも無いような気もします。

ただ、両親や兄弟に対しての気安さと、
結婚して一緒に住んでいる相手に対しての気安さの質って
違うのかなぁなんて思っています。

もちろん、お互い、相手には必要以上の気遣いも、
遠慮もしていないのですが、
やはり微妙に親元の家族に対しての温度は違いますね。

皆さんの場合はどうでしょうか?

両親や兄弟のように血のつながった者同士は、
たとえケンカになっても、家族というつながりは消えません。
だから「なに言ってもイインダ」という
甘えも許されるのかもしれません。

しかし、同じ家族とはいえ、
結婚した相手と大ゲンカをしてしまうと、
もしかしたら、取り返しのつかないことになる危険性が孕んでいる
(たとえば離婚のように)ということを
互いが無意識に感じているのでしょう。

だからこそ、言葉遣いも、実家で話すときの乱暴な口調ではなく、
どこか相手を気遣う口調に自然になっているのかもしれません。

そして、このちょとした気遣いが、
10年間、大きなケンカやトラブルになることなく過ごせてきたので、
それはそれで良いことなのかもしれません。

というより、わが家は共働きで、平日は互いに忙しいので、
些細な言葉づかいの至らなさ程度で、
心をささくれ立たせたり、不愉快な気分になるのって、
時間と感情のムダ遣い。
だからこそ、なるべくテイネイな言葉遣いになるんだろうなぁと、
今、書いていて気がついた(笑)。

こちらが気分がいいと、だいたい相手も気分がいいものですから。

親しき仲にも礼儀あり、ってとこでしょうか?

私が、新年一発に聴くジャズは、
毎年バド・パウエルの『ジャズ・ジャイアント』と決めています。
この連載の最初に紹介したアルバムです。

1曲目の《テンパス・フュージット》の
厳しいスピード感に包まれて新年を迎えるのが、
毎年の恒例行事となっています。

“テンパス・フュージット”とは、
ラテン語で“光陰矢のごとし”という意味なのだそうです。

ジャズを聴き始めて、はや18年目を迎えんとする今年。
まさに、矢のごとく年月が過ぎていく感があります。
時間の速度に負けないぐらい、
充実した毎日をすごしたいと思います。

今年も、どうぞ、このコーナーのご愛顧をお願いいたします。

高野 雲拝

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『ジャズ・ジャイアント』
バド・パウエル
1.テンパス・フュージット
2.セリア
3.チェロキー
4.アイル・キープ・ラヴィング・ユー
5.ストリクトリー・コンフィデンシャル
6.オール・ゴッズ・チルン・ガット・リズム
7.ソー・ソーリー・プリーズ
8.ゲット・ハッピー
9.サムタイムズ・アイム・ハッピー
10.スウィート・ジョージア・ブラウン
11.イエスタデイズ
12.エイプリル・イン・パリ
13.身も心も

バド・パウエルの厳しいピアノのタッチは、厳冬を彷彿とさせます。
熱い演奏なのに、触るとビリッと凍てつくほどの厳しいタッチと、
ブリザードを思わせるほどの強烈で圧倒的なスピード感。
新年は、滝の水に打たれるような気持ちで、心のお清めも兼ねて聴いているジャズです。

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2006年1月1日(日)

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