やがて本気で好きになります

第59回
モンクのブルース 〜ジャズのブルース 3

ひきつづき、ジャズの様々な名ブルースを紹介してゆきます。

前回はチャーリー・パーカーのブルースを中心に紹介しました。
パーカー作曲のブルースは、
モダンジャズを演奏する者にとっての基礎教養的なところもあり、
今でもジャムセッションなどで演奏されることがとても多いです。

短い12小節という枠組みの中に、
モダンジャズの様々なエッセンスが凝縮されているからです。

起伏の激しい旋律や、メリハリのある刺激的な旋律のタイミング、
特異なリズムのアクセントなどなど、
様々な要素が盛り込まれているゆえ、
ある意味パーカーの“語法”に慣れることは、
すなわちジャズの“語法”に慣れることにほかなりません。

パーカーと同様、一見シンプルかつ素朴なメロディの中に、
一筋縄ではいかない要素が盛り込まれているブルースを作った
もう一人の偉大なジャズマンがいます。
セロニアス・モンク(p)です。

《ストレート・ノー・チェイサー》や《ブルー・モンク》は
彼の代表的なブルースで、
いまでもよく演奏されているナンバーです。

一度耳にすれば、
基本的な旋律は頭の中に入ってくるほどの
シンプルなメロディですが、
両曲とも
後半4小節のメロディのタイミングのズラしが巧妙に施されており、
実際に演奏すると、一瞬戸惑うかもしれません。

単純素朴な旋律の中に、
演奏者を挑発するかのような構造を仕込むこと。
これが作曲者モンクの特徴の一つでもあり、
だからこそ、彼の曲は
いまだに多くのジャズマンを捉えて離さない魅力があるのでしょう。

次回も引き続き、
様々なジャズのブルースナンバーを紹介してゆこうと思います。

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『Milestones』
Miles Davis

1.Dr. Jeckle
2.Sid's Ahead
3.Two Bass Hit
4.Milestones
5.Billy Boy
6.Straight, No Chaser
7.Two Bass Hit (Alternate Take)
8.Milestones (Alternate Take)
9.Straight, No Chaser (Alternate Take)


マイルス演奏する《ストレート・ノー・チェイサー》。
当時彼が擁していた一流ジャズマンたちのエキサイティングなプレイが楽しめると同時に、
いかにこの曲がジャズマンたちに愛されていたかが分かります。



『Straight, No Chaser』
Thelonious Monk

1.Locomotive
2.I Didn't Know About You
3.Straight, No Chaser
4.Japanese Folk Song (Kojo No Tsuki)
5.Between the Devil
 
and the Deep Blue Sea
6.We See
7.This Is My Story, This Is My Song
8.I Didn't Know About You
9.Green Chimneys


モンク・カルテット演奏による《ストレート・ノー・チェイサー》。
このアルバムでは、なんと《荒城の月》も演奏されています。




『セロニアス・イン・アクション』
セロニアス・モンク
1.ライト・ブルー
2.カミング・オン・ザ・ハドソン
3.リズマニング
4.エピストロフィー(テーマ)
5.ブルー・モンク
6.エヴィデンス
7.エピストロフィー(テーマ)
8.ピアノ・ソロ
9.ブルース・ファイヴ・スポット
10.イン・ウォークト・バド~エピストロフィー
 (テーマ)

《ブルー・モンク》という曲の輪郭や楽しさをつかむには、これが一番。




『アローン・イン・サンフランシスコ』
セロニアス・モンク
1.ブルー・モンク
2.ルビー,マイ・ディア
3.ラウンド・ライツ
4.エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー
5.君は奪いぬわが心を
6.ブルーホーク
7.パノニカ
8.リメンバー
9.あなたの眼がこわいの(テイク2)
10.リフレクションズ
11.あなたの眼がこわいの(テイク1)

モンクは生涯《ブルー・モンク》を何度も演奏していますが、
これは、ピアノ一台で演奏されているソロバージョン。
私はこれを聴いて好きになりました。

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2006年1月4日(水)

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