やがて本気で好きになります

第60回
ジャズの名ブルースを紹介

パーカー、モンクのブルースの紹介で終わってしまった
前回の名ブルースの紹介ですが、
まだまだジャズには名ブルースが数多くあります。

今回もいくつかの名ブルースを紹介しましょう。

まずは、マイルス・デイヴィスとセロニアス・モンクとの共演で、
名演奏の誉れ高い《バグズ・グルーヴ》。

これは、ヴァイブラフォン奏者の
ミルト・ジャクソン作曲のブルースです。
ミルトのニックネームはバッグズ。
目の下のクマがバッグ(袋)のようだからという理由です。

そのバッグズが作ったブルースだから《バグズ・グルーヴ》。
マイルスとモンクの歴史的な演奏に、彼自身も参加しており、
格調高いソロを展開しています。

次は、有名なコルトレーンのブルース、《ブルー・トレイン》。
シンプルながらも勇壮な雰囲気を湛えたブルースです。
ちなみに、コルトレーンの愛称は、トレーン。
トレーンのブルースだから、“ブルー・トレーン”なわけですね。

ブルースの曲は、タイトルに“ブルー”がつくことが多いです。
たとえば、《ブルー・レッド》。

「なんじゃその色?紫色か?」
となるかもしれませんが、
これは、レッド・ガーランドが作ったブルース。
ベースのポール・チェンバースのソロが大きくフィーチャーされた、
レイジーなムードの演奏が
『ア・ガーランド・オブ・レッド』で楽しめます。

ウイントン・ケリー(p)作曲のブルースは、《ケリー・ブルー》。

そういえば、前回紹介した《ブルー・モンク》も、
モンク作曲のブルースです。

マイルスが好んで演奏したブルースは《ウォーキン》。
マイルスではなく、リチャード・カーペンターの作曲です。
ちなみに、リチャード・カーペンターは
チェット・ベイカーのマネージャーでした。

マイルスは、このブルースを様々なアプローチで録音しています。
初演の『ウォーキン』では、ゆったりとしたテンポで。
後年『フォア・アンド・モア』や、
『マイルス・イン・ベルリン』になると、
手に汗握る高速テンポで演奏しています。

マイルスとウイントン・ケリーが出てきましたが、
これで思い出すのが、《フレディ・フリーローダー》。
マイルスの『カインド・オブ・ブルー』で演奏されている
シンプルな名ブルースです。
本来のピアニストはビル・エヴァンスだったのですが、
この曲のみ、ウイントン・ケリーがピアノを弾いています。

マイルスは、白人ピアニストのビル・エヴァンスを起用し、
スタティック、かつ格調高い
ムードを作り上げることに成功しましたが、
やはり、ブルースは
黒人のピアニストじゃなきゃ弾けないと思ったのでしょうか。
この曲だけは、ウイントン・ケリーにピアノをバトンタッチ。

このことで、エヴァンスは傷ついたようで、
後年、「白人のボクにだって、ブルースできらぁ」とばかりに、
自分のリーダーアルバムで
《フレディ・フリーローダー》を吹き込んでいます。

最後に、もう1曲。
《ブルース・イン・ザ・クロセット》も、ブルースの名曲です。
これは、ベーシストのオスカー・ペティフォードの曲で、
バド・パウエル(p)が好んで演奏しています。

駆け足で紹介してゆきましたが、まだまだ次回に続きます。

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『Bags Groove』
Miles Davis

1.Bags' Groove (Take 1)
2.Bags' Groove (Take 2)
3.Airegin
4.Oleo
5.But Not For Me (Take 2)
6.Doxy
7.But Not For Me (Take 1)


マイルスとモンクの有名な共演盤。ピリリとした張り詰めた緊張感がたまりません。
マイルス、ミルト、モンクともに、格調高いソロを繰り広げています。



『ブルー・トレイン』
ジョン・コルトレーン

1.ブルー・トレイン
2.モーメンツ・ノーティス
3.ロコモーション
4.アイム・オールド・ファッションド
5.レイジー・バード


コルトレーンのテナーサックス、トランペットのリー・モーガン、トロンボーンのカーティス・フラー。
この3人の管楽器が繰り広げるテーマの分厚く勇壮なハーモニーを聴くだけで、
ノックアウトされることでしょう。




『ア・ガーランド・オブ・レッド』
レッド・ガーランド
1.ア・フォギー・デイ
2.マイ・ロマンス
3.恋とは何でしょう
4.メイキン・ウーピー
5.九月の雨
6.リトル・ガール・ブルー
7.コンステレイション
8.ブルー・レッド

《ブルー・レッド》が収録されているレッド・ガーランドの初リーダー作。
溌剌と、親しみやすいピアノが楽しめます。




『ケリー・ブルー』
ウィントン・ケリー
1.ケリー・ブルー
2.朝日のようにさわやかに
3.ドゥ・ナッシン・ティル・ユー・ヒア・フロム・ミー
4.オン・グリーン・ドルフィン・ストリート
5.柳よ泣いておくれ
6.キープ・イット・ムーヴィング(テイク4)
7.キープ・イット・ムーヴィング(テイク3)
8.オールド・クローズ

ウイントン・ケリーを代表する1枚。
ブルージーなムード満載の名盤です(個人的にはあまり好きじゃないけど…)




『Kind of Blue』
Miles Davis
1.So What
2.Freddie Freeloader
3.Blue In Green
4.All Blues
5.Flamenco Sketches
6.Flamenco Sketches (Alternate Take)

傑作中の傑作名盤。
《フレディ・フリー・ローダー》のみ、ウイントン・ケリーがピアノを弾いています。

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2006年1月6日(金)

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