やがて本気で好きになります

第83回
楽器は音が命。
暖かい音色を引き出すレイ・ブラウン

楽器奏者にとって、音色はテクニック以前に大切なことです。

良い音色を得るために、お金に糸目をつけない楽器奏者は、
プロ・アマ問わずに多くいます。

一例をあげれば、バイオリンのストラディバリウスがそうですよね。
バイオリニストがこのバイオリンに憧れるのは、
骨董品、美術品としての価値からではありません。
一にも二にも音が良いからです。

少しでも良い音で演奏をしたい。
この思いは、どのプレイヤーも共通して持っているはずです。

もちろん、良い楽器を得たからといって、
誰もが即、良い音で演奏できるわけでもありません。

名馬を乗りこなすにはそれ相応の修練が必要なのと同様、
楽器から最高の音を引き出すためには、
たゆまぬ基礎練習と腕が必要なことは言うまでもありません。

逆に言えば、素晴らしい音色でプレイできること自体、
名手の証なのです。

とくに、インスト中心のジャズにおいては(ヴォーカルは除く)
楽器の音色は、
プレイヤーの個性を主張する大きなポイントとなります。
楽器の音色はすなわち、その人の個性に直結するのです。

さて、今回紹介したいのはベーシストのレイ・ブラウンです。

この人のベースの音色は本当に素晴らしい。
暖かくいぬくもり。
まさに弦の音とボディの木の音が絶妙にブレンドされた音色。
弾力性と柔軟性に富んでいて、演奏を大きく包む包容力があります。

くわえて、非常に安定したリズム感の持ち主なので、
レイ・ブラウンと共演したジャズマンは、
大船に乗った気分で演奏出来たに違いありません。

彼のベースの音色を存分に堪能できるアルバムを紹介します。
ミルト・ジャクソンという
ヴァイブラフォン奏者がリーダーのアルバム
『ザッツ・ザ・ウェイ・イット・イズ』です。

“フィーチャリング・レイ・ブラウン”の表記通り、
彼のベースを味わうためのお膳立てが随所に設けられています。

とくに1曲目の
《フランキー・アンド・ジョニー》イントロは絶品です。
ここを聞くだけでも、
レイ・ブラウンというベーシストの素晴らしさの一端が
耳で確認できることでしょう。

――――――――――――――――――――――――――――

『ザッツ・ザ・ウェイ・イット・イズ』
ミルト・ジャクソン

1. フランキー・アンド・ジョニー
2. ヒアズ・ザット・レイニー・デイ
3. ホイーリン・アンド・ディーリン
4. ブルース・イン・ザ・ベースメント
5. テンダリー
6. ザッツ・ザ・ウェイ・イット・イズ


「ジャズのベースとは?」 「はい、これを聴いてみてください」
こんな短いやり取りで済んでしまうほど、良いベースの手本のような演奏。
音色の素晴らしさも特筆ものです。

←前回記事へ

2006年3月1日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ