やがて本気で好きになります

第90回
素晴らしきトランペッター、クリフォード・ブラウン

クリフォード・ブラウン。
愛称はブラウニー。
マイルス・デイヴィスとともに、
いやそれ以上にモダン・ジャズを代表するトランペッターといっても
過言ではありません。

言外にニュアンスを込め、
思わせぶりなところもあるマイルスのプレイに比べると、
ブラウニーのトランペットは、竹を割ったように明快。
しかも、抜群のテクニックと歌心で我々を楽しませてくれます。

溌剌とした音色といい、フレーズの親しみやすさといい、
整然、かつ、メリハリのある演奏といい、
どこを取っても非の打ち所の無いトランペッターです。

ジャズを知っている、知らない、詳しい、
詳しくないなどとは関係なしに、ブラウニーのトランペットには、
リスナーの胸を打ちます。

「色々とジャズを聴いてみたけど、
どれもいまひとつピンとこないなぁ、
もしかして自分とジャズは相性が悪いのかなぁ」
とお悩みの方がいらっしゃれば、騙されたと思って、
最後のこの1枚だけ、耳を通してみていただけませんか?

クリフォード・ブラウンの
『スタディ・イン・ブラウン』というアルバムです。

このアルバムには、簡潔かつ整ったアレンジと、
歌心溢れるブラウニーのトランペットが目白押し。

彼のブライトなトーン、
そしてストーリー性のある
アドリブの組み立てにはまったく破綻がなく、
これを聴けば、ブラウニーの素晴らしさに心打たれ、
さらにジャズの楽しさを存分に味あわせてくれると思います。

オススメ曲を2曲だけピックアップします。
まずは、《サンドゥ》。
とても明るいフィーリングを感じさせるブルースです。
彼のアドリブは、アドリブの面白さに目覚めれば、
ジャズに目覚めたも同然。
しかも、ブラウニーのアドリブは、
起承転結がハッキリとしている上に、すっきりと簡潔なので、
誰が聴いても楽しめると思います。

もう1曲が、《A列車で行こう》。
聴きどころは、出だしです。
まるで蒸気機関車が出発する直前のような高揚感があります。
そして演奏の最後の箇所。
ドラムのブラシが「カサカサ」とスネアドラムをさする音は、
まるで駅に到着して、
蒸気を吐き出して一休みをする汽車のようです。
生き生きとしたテンポにのった演奏も素晴らしく、
ジャズは難しい顔をして聴くものだと思っている人も、
それは単なる思い込みだったことに気が付くでしょう。

「クリフォード・ブラウンを聴かずにジャズを諦めるな!」
と自信を持って言い切りたいです。
強引ですが、彼のトランペットの音こそ、
モダンジャズそのものだと思います。

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『スタディ・イン・ブラウン』
ブラウン=ローチ・クインテット

1.チェロキー
2.ジャッキー
3.スウィンギン
4.ランズ・エンド
5.ジョージズ・ジレンマ
6.サンデュ
7.ガーキン・フォー・パーキン
8.イフ・アイ・ラヴ・アゲイン
9.A列車で行こう


多くの言葉は要しません。とにかく聴いてみてください。

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2006年3月17日(金)

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