時代の美意識

第11回
老人であることに甘えるな

私は現在63歳。
あと少しで、
いわゆる前期高齢者と呼ばれる世代に仲間入りする年齢です。
だからというわけではありませんが、
街を歩いたり電車に乗ったりしていて、
ギスギスした人たちの振る舞いに腹が立つこともあります。

目の前にお年寄りが立っているのに、
平然と優先席に座って携帯をいじっているような若者を見ると
猛烈に腹が立ちます。
ゆっくりとしか歩けない高齢の方を邪魔者扱いし、
すれ違いざまにぶつかって
謝りもしない人を見ると、もっと腹が立つ。

でも一方で、
「こういう年の取り方はしたくないな」
と思ってしまう高齢者を見かけることもあります。

私は若いときから、お年寄りの方がいたら必ず席を譲ってきました。
ある日、目の前に高齢のご婦人が立たれたので、
睡眠時間が1〜2時間しかとれずクタクタに疲れてはいたのですが、
「どうぞ」と席を譲りました。
その方は「ありがとう」と言うと、
傍にいた小学生くらいの孫を座らせてしまったのです。
心底ガッカリしました。

それ以来、譲る方を選ぶようになってしまいましたが、
こうした経験をすると、若い人が席を譲らないことを
一概に非難できないなと感じることも事実です。

車内を見ていても、席を譲られて「ありがとう」も言わず、
当然という顔で座ったり、
「自分は年寄りなんだから席を譲れ」とばかりに、
無言の威圧をかけてくる方がいます。
もちろん、目の前に高齢の方がいるのに、
鏡を出して化粧をしているような輩は
「おどき!」と一蹴するに値しますが、
お年寄りの側も
「自分は年寄りなんだから当然」という態度は
よろしくないと思うのです。

私の会計士さんは80歳近い方ですが、
今でもかくしゃくとしていて、
頭にはハット、手にはステッキというスーツ姿で、
悠然と歩いています。
ステッキをついて堂々と渋谷の街を闊歩すると、
歩いているだけで若者が自然とよけてくれます。
それが年を重ねることの貫禄でしょう。

中途半端に自分の年齢に甘えず、
このようなかっこいいお年寄りがどんどん増えてほしい。
同時に、お年を召した方も若い方も、
もう少しモラルをもって互いに接していけば、
ギスギスした世の中の雰囲気も、
ちょっとは変わっていくように感じます。


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2009年6月16日(火)

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