時代の美意識

第17回
空想時間

私の一日はベッドの中の読書で終わります。
ベッドに入り本を開いて、
眠くなったら栞もはさまずパタッと本を置いて、
スタンドをつけたまま眠りにおちていく。
本当に至福の時間です。

本を開いた瞬間から、行間を空想し、
時空を越えた旅を始めるのも楽しみとなっています。
これまでは日本の歴史ものをずっと読み続けて、
幕末から明治維新を経て、
明治へと入っていくときのエネルギーを
空想しては楽しんでいたのですが、
今興味があるのは中国の歴史小説。
かつての日本は文字をもたず、
中国から漢字が来てひらがなやカタカナが生まれ、
日本の文学ができあがったと知ったときはショックでした。

中国から入ってきた文化が、現在の日本の文化につながっている。
その過程を知るおもしろさと同時に、
中国の文化や歴史自体がとてもおもしろくて素晴らしい。
すっかり魅了され、時間を無理につくって、
映画館まで『レッドクリフ』を観にいってしまいました。
いつか万里の長城が造られていく過程をたどりながら、
中国の歴史の軌跡を見てみたいとも思っています。

今、夢中になっているのは陳舜臣さんの作品です。
「三国志」や「水滸伝」を読んでいると、
「こんな衣装を着て、あの広い平原を駆けていたんだろうな」とか、
「眉目秀麗と書いてあるけれど、
昔の中国の人だからこんな顔立ちをしていて、
こんなふうに剣を振り回して戦ったのだろうな」など、
絵巻のように想像してしまいます。

本を読みながら、
こっちの軍は黄色い軍服、こっちの軍は赤い軍服で、
黄砂の中、両軍がにらみ合っていて…と、
頭の中で映画を観ているように映像が広がっていく。
この空想時間が楽しくてたまりません。

中国の旅が終わったら、
今度はルビコン川を渡ってローマに行く予定です。
その次はシルクロード。
本を入り口とするベッドの中の空想の旅は、
長い旅路になりそうです。


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2009年7月7日(火)

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