時代の美意識

第26回
タクシーの車窓から

私は移動でよくタクシーを使います。
小さな窓から世の中をながめていると、
いろいろなことが見えてきて結構楽しい。
それを話題に、
運転手さんとひと花咲かせることも少なくありません。

タクシーの中という、ある種閉鎖された空間から、
道行く人たちの振る舞いや日常をながめていると、
時に日本人は昔と今で変わったなあと感じることもあります。

なかには気になる変化もあります。

身だしなみがうんぬん…なんてことは、
人それぞれの問題ですのでどうでもいいのですが、
車に対する警戒心のなさや
自己本位な振る舞いが目立つのはいただけない。

後ろから車が来ているにも関わらず、
よけようともせずに道の真ん中をテロテロと歩いている、
道の角から忽然と出てきて、
周りを注意・確認することなく
そのままゆっくり斜めに道を横切っていく…。
20代の若い人たちに多いのですが、
みな一様に携帯を見ながら、というのが共通項です。

小さな子どもを連れたお母さんも、手はつないでいるものの、
平気で子どもは車道側を歩かせています。
おまけに自分はウィンドウショッピングに余念がありません。
気持ちは洋服やバッグに向いたままです。
子どもがパッと手を離して車道に飛び出したらどうするのかと、
見ているほうがハラハラします。
昔は子どもは建物側を歩かせ、
車道から離すのが常識だったのですが、
その常識はどこにいってしまったのでしょうか。

そんな危なっかしい人たちの中を、
注意深く運転していかなければならない
タクシーの運転手さんは大変です。
聞けば、クレームが来るため、
今はクラクションを鳴らすこともできないそうです。

危機感なく街の中を歩ける日本は、
やはり平和な国なのだなあと思いつつ、
自己本位な人が増えていることには暗澹とした気持ちになります。

せめて「携帯を見ながら道を歩くのはやめよう」
「交通ルールは守れ」と思うのですが、
年寄りの戯言になってしまうでしょうか。


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2009年8月6日(木)

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