時代の美意識

第27回
真夜中の大笑い

仕事柄、お客さまを笑顔にしてさしあげることが
私の一番の願いです。
これまで多くの方の笑顔を目にして、
幸せ〜な気分を味わわせていただきましたが、
最近ハタと気づいたことがあります。
私自身、幸せに笑うことが減ってしまったなあということ。

お腹の底から大笑いしたのっていつだっけ?
と考えてみて、
「そうだそうだ」と思い出したのが、
『王妃の館』という本です。
作者は浅田次郎さん。

ある旅行代理店が企画したフランス旅行の話ですが、
ある事情を背景にひとつのツアーを二重売りにしたことから、
さまざまなドタバタが起こります。
それも、かたや10日間で150万円という豪華ツアー、
かたや同じく10日間で20万円の貧乏ツアー。
光(ポジ)ツアーと影(ネガ)ツアーのご一行には、
一筋縄ではいかない人たちも多く、
読みながらニアミスにハラハラしたり、
人間模様がおもしろおかしくて大笑いしたり。

夜中、げらげらと声を出して笑ってしまいましたが、
本を読んであんなに笑ったのは初めてだったかもしれません。

浅田次郎さんの本を選んでくれたのは娘です。
私は読むペースが速いため、
手持ちの本があっという間に減ってしまいます。
そろそろストックがほしいと思い、娘に本の仕入れを頼んだ際、
彼女が嗅覚を働かせて買ってきてくれたのが
『蒼穹の昴』と『中原の虹』という浅田さんの中国歴史小説でした。
読んでとてものめり込むようにおもしろく、
それから他の作品も読むようになって、
『プリズンホテル』から現代モノへ。
浅田次郎さんの現代小説は肩が凝らない作品も多く、
不思議な世界へ連れて行ってくれる
娯楽的に読めるところが魅力です。

なかでも『王妃の館』は、久しぶりに笑わせてもらえた作品でした。
お腹の底から大笑いしたいときは『王妃の館』、お勧めです。


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2009年8月11日(火)

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