時代の美意識

第28回
東海道新幹線の楽しみ

講演の仕事などで、新幹線を利用することも少なくありません。
東北新幹線に乗ると見えるのは田園風景。とても心癒されます。

西へ向かう東海道新幹線には、
「ここだけは何が何でも見る!」と決めている場所があります。
名古屋を出て岐阜羽島を過ぎると現れる古戦場、関ヶ原です。
発車時は寝ていることが多い私ですが、
名古屋が近づいてくると、
「そろそろだなあ。関ヶ原見なきゃ」と、
眠い目を無理やり開けて外の風景をながめます。

かつて徳川家康率いる東軍、石田光成の西軍とが闘う、
家康の勝利によって徳川の覇権が決定的となった地。
不思議なことに天候も、この場所だけ雨が降っていたり、
雪が降っていたり、曇天に覆われていたりします。
何か違う力が働いているかのようです。

車窓から見える風景は山に囲まれ、
ところどころにお墓が集団となって点在していますが、
「天下分け目の合戦がどこで行われたのだろう」と思いを馳せ、
ぬかるむ地を
何万、何十万の人馬が通り抜けていった様を思い描いては、
「さぞや、すごかっただろうな」と当時を偲ぶのが
東海道新幹線での楽しみ。
「絶対にここだけは見なきゃ」と、
ともすれば下がってきてしまう瞼を無理やりこじ開けて、
しばし窓にかぶりつきます。

この辺りの景色が好きなのには、もうひとつ理由があります。
「ああいう家に住みたい」と憧れる家を見つけてしまったことです。

関ヶ原を通り越して、家が少し増えてきた辺りにある家屋で、
最初の目印は「せんねん灸」の看板。
これが見えてくると目的の家は間近です。
山の中腹にあり、高床の上に平屋の日本家屋が乗っていて、
見るたびに
「あの家に住んで農作業をしながら暮らしたい。
いろいろな争いとは無縁の
静かな生活が送れたらどんなにいいだろう!」
と思います。

関ヶ原石材店の看板を見ては、
「将来は大理石を買おう」と思ってみたり、
ひとしきり夢ふくらませた後はまた夢の中へ。
わずか十数分の心癒されるひと時です。


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2009年8月13日(木)

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