第3回
希少性への対価は数億円
中国古陶磁器の魅力の一つに、
当時陶磁器作りはハイテクの最先端だった事があると申しました。
いまでは、どこにでも売っている「青磁」の青色、
そして「白磁」の白色、
白地にブルーで絵付けする青花の技術など、
主に唐代以降何万人の陶工が
すべて自然の産物だけを使って苦心に苦心を重ね作り上げた
技術革新の塊のようなものだったのです。
焼き物は「胎土」と「釉薬」からなります、
つまり土、鉱物、灰(藁などを燃やした)だけでできているのです。
その組み合わせと燃焼温度などの焼き加減だけで、
故宮博物院にあるような
芸術性を極めたような作品が生まれたのです。
例えば、青磁の澄み切った青い色は
絵の具で染めている訳ではなく、
釉薬中に含まれる微量な鉄分がある
限られた焼成条件で発色したものなのです。
中国古陶磁は決して簡単に大量生産できるようなものではなく、
膨大な時間と労力の積み重ねの中に誕生した
希少性の強い芸術である事に私は強く魅力を感じるのです。
中国古陶磁器は
宋代にその発展の礎を築きましたが、
その頃に理想的な発色の焼き物は何千、
何万に一つしか出来なかったと言われています。
そういう希少性があるからこそ、
今日何千万円何億円という高価な値段がつくのです。
ちなみに私は古陶磁器も中国株も
まだ安価な時に目を付けたおかげで家計が随分助かりました。
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中国古陶磁器の中でも最も希少且つ高価だと言われる
汝官窯の作品の破片。
世界でも真品は20点程しかなく、
完品なら最低でも数億円の値が付く至高の磁器。 |
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