第6回
為政者の為の技術革新
宋代に入ると、皇帝の高いレベルの要求に応じる為、
一気に陶磁器製作の技術革新が加速し、
宋の五大名窯(汝窯・官窯・定窯・哥窯・鈞窯)などが誕生します。
そういう名品の多くは台湾の故宮博物院などに現存し、
たまに市中に出回ると数千万、
数億、数十億の価格で取引きされます。
しかし、そういう精品が作られた宋時代も
有名なチンギスハーンによる元によって滅ぼされます。
その元時代の陶磁器もその為政者の影響を強く受け、
非常に分かりやすい特徴があります。
その特徴とは「器物が大きい」という事です。
そして、もう一つ
この時代に一つの素晴らしい技術が生まれました。
「青花」という技法です。
これは皆様もよく知る伊万里焼などでよく見かける
白地に青で文様を描く技法です。
この青色はコバルトという鉱物が発色したものですが、
この技法が生まれた理由も元王朝が
領土を今の東アジアまで拡大し、
良質のコバルトを手に入れた事に関係しています。
そして、その後明時代・清時代と
中国陶磁器は発展していく訳ですが、
皇帝の影響なしにその発展はあり得なかったのです。
つまり中国において、
世界に先駆けて作陶技術が発展した大きな原因は
歴代の為政者達が焼き物に強い関心を持っていたという事です。
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明時代以降の焼き物において、
最高の権力者を示す五本爪の龍は
皇帝直属の窯いわゆる官窯でしか焼かれませんでした。
逆に言えば、
民間の窯で焼かれる陶磁器に描かれた龍の爪は
全て四本となります。 |
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