第18回
「洪憲年製」磁器の謎を追え その1
前回「小休止」においての中国株予想は外してしまいましたね。
中国古陶磁器の話にもどります。
私が中国古陶磁器に興味をもったキッカケが
「洪憲年製」磁器にあると以前のコラムにも書きました。
今回からはこの「洪憲年製」磁器について説明いたします。
まず「洪憲」とは元号名で、
簡単に言えば日本の『明治』とか『昭和』にあたります。
しかし、この「洪憲」という時代は現実には存在しなかった事から
話がややこしくなり、
そこにロマンが生まれます。
1915年、辛亥革命に乗じて中華民国の大統領に就任した袁世凱は、
帝政復活の野望を抱き、
1916年元旦をもって元号を「洪憲」と定め、
自らが皇帝になる事を宣言します。
しかし、実際には国内国外、
敵味方問わずの猛反対に遭い、
その野望は瞬く間に崩れ去ります。
そして1916年2月9日に予定されていた「皇位戴冠式」は行われず、
袁世凱は失脚しました。
帝政復活を宣言し、新元号を「洪憲」と定めたのが1915年の年末、
そして袁世凱が失脚したのが1916年の3月22日です。
袁世凱は中華民国大統領と言う
最高権力を手中にしただけで満足せず、
自ら皇帝になるという暴挙に出た為に
たった数ヶ月で彼の政治生命が絶たれたばかりか、
同年6月には失意の中で病死する
という結末を迎える事になります。
では、こういう政治に纏わる歴史のストーリーの中に
どう陶磁器の話が関係してくるのでしょうか?
それはこういう事です。
中国では清朝以来、
皇位戴冠の際に部下の高官に対して
高級磁器を配るという慣わしがありました。
袁世凱は元々自分の為だけに「居仁堂」
という銘款を入れた焼き物を作らせていたぐらいの人物ですので、
当然戴冠式に向けて
高級磁器製作を景徳鎮に命じていたと言われています。
しかし、袁世凱は短期間で失脚、
予定されていた戴冠式も行われず、
その為に用意されていた高級磁器もその役割を果たせぬまま、
散り散りになり、
その後の消息が途絶えます。
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袁世凱が皇帝になる事を前提に定められた
「洪憲」という幻の元号が書かれた銘款。
(ただし、画像はニセモノ)
裏にこの銘款がある磁器を探しましょう、
大金持ちになれるかも・・・
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