中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第27回
大きく花開いた、唐時代 その1

中国古陶磁器の第一次最盛期はやはり唐時代でしょう。

陶磁器の世界だけではなく、色々な芸術の分野においても、
それまでの時代と一線を画した様々な技法が生まれ
「大きく花開いた」のは唐時代になってからの事だと思います。

それはやはり政治的な安定の下、
一般庶民の生活にも活気が溢れ、
自由な創作活動を行える機運ができていたのでしょう。

この唐時代には、
現代に至るまでの殆どの陶磁器製作技術の下地が作られました。

青磁については前回言及した「越州窯」において、
コントロールされた還元焼成に成功。
当時「秘色」と呼ばれた綺麗な青緑色の青磁が焼かれています。
さすがにこの青磁は「秘色」と呼ばれただけあって、
その焼成技術は門外不出だったようです。

またこの時代、胎土釉薬ともよく精製された
真っ白な白磁の焼成に成功しています。
この唐時代の白磁はまるで赤ちゃんのほっぺたのように滑らかで
柔らかい感触の焼き物でこれも日本人には大変人気があります。

それと、もう一つはこの時代に生まれた有名な陶磁器があります。
言うまでもありませんが、
「唐三彩」です。
唐三彩に使用される釉薬は、
漢時代に発明された「鉛釉」を進化させたもので、
いろいろな鉱物を混ぜる事で
従来の緑色と褐色以外に藍色、黄色など
様々な発色を得る事に成功しました。

唐三彩とは、
その煌びやかな釉薬をふんだんに使用した
豪華絢爛の陶磁器なのですが、
実はこれは人々が実際に使用したものではありません。
これらは「明器」と言って、死者を埋葬する際、
あの世での幸せを願い死者と共に埋められるものなのです。

ですので、
一つの唐の墳墓が発見されると沢山の唐三彩が同時に出土します。
さらに有力者のお墓になればなる程、
その数はおびただしいものとなります。

この「唐三彩」も80年代後半以降、
中国の経済開放におけるインフラ開発の波の中で
大量に発掘されました。
それにより、
一般の古陶磁器愛好家が容易に収集できる価格まで
値崩れを起こした事について、
我々一般中国古陶磁器愛好家は
中国の経済開放政策に感謝すべきところでしょう。

それ程大量に出土した「唐三彩」ですが、
不思議な事にニセモノが一番多いのもこの「唐三彩」なのです。
インターネットなどのオークションで
取引きされている唐三彩を見れば
殆ど100%近年作と見受けられます。

煌びやかな唐三彩

しかし、それは死者と共に埋葬された「明器」だった。

東京国立博物館の贓品より(解説リンク)

 
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