第28回
大きく花開いた、唐時代 その2
唐時代の、いや中国の全ての時代において
最も有名な陶磁器と言えば多分「唐三彩」でしょう。
では、何故この「唐三彩」が
これほどまで一般的に知られるようになったのでしょう?
それには、二つの大きな要因があったと考えられます。
一つ目は、現存する数が大変多かった事。
二つ目は、その造形や色彩が非常に分かり易く、
視覚的に人々の共感を得易かった事だと思います。
実はこの二つの要因は同じ理由から発生しています。
その理由とは「唐三彩」が明器、
つまり埋葬される人と一緒に
お墓の中に埋められた陶磁器だったという事です。
数が多いのは、勿論沢山の墳墓から大量に出土されるという事、
また器形に親しみを覚えると言うのは、
埋葬者があの世での生活で困らない為に
必要な物を陶磁器で象ったからでしょう。
そして、色彩が素晴らしいのは、
「唐三彩」が実際に生活の中で使用する物ではない為、
当時発色させる事に成功した全ての色彩を
自由奔放、豪華絢爛に使えたからでしょう。
更にもう一つ「唐三彩」には
大変貴重な情報が詰まっている事を忘れてはいけません。
当時、埋葬者と一緒にお墓に埋められた「唐三彩」は、
当時の人々の生活習慣や思考までも如実に再現している
タイムカプセルのようなものだとも言えるのです。
その器形から「唐三彩」はいくつかのグループに分けられます。
◎実際の生活に必要なもの
馬 食器類 住居 家畜
◎お墓を守る為のもの
神王 獣神
◎あの世でも権力を維持する為のもの
軍人 官人 騎馬隊 女性
◎胡の国(西アジア周辺国)に纏わるもの
駱駝 胡人
これらの事から連想すると・・
○死後の再生を信じていた事。
○盗掘を恐れていた事。
○馬を非常に大切にしていた事。
○西アジア周辺国家との交流が盛んだった事。
…など多くの事が読み取れます。
古陶磁器はそれを単にそれを鑑賞するだけでなく、
過ぎ去った過去を想像する為のツールとして利用できる事も
大きな魅力の一つなのです。
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唐三彩女人俑
唐時代は太っている事が女性の魅力の一つとされました。
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