中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第31回
中国古陶磁器の絶頂期「宋時代」

中国陶磁器に関して、
私が一番好きな中国の時代は「宋時代」です。
いや、私は宋時代の焼き物に惹かれて
中国古陶磁器の世界に足をどんどん踏み入れて行ったと言っても
過言ではありません。

それ程、宋時代の焼き物(日本では「宋磁」と呼びます)は
素晴らしいものなのです。
まず何が素晴らしいかと言えば、
現在世界中の陶磁器のベースとなっている殆どの技巧や技術は
宋時代に開発され普及し定着したものであるという事です。

日本人が「宋磁」を語る上でよく使う言葉は
「神秘的」「幽玄」「研ぎ澄まされた」などですが、
確かに宋時代とくに前期の北宋時代の焼き物を見れば
そういう言葉で表現される理由に納得がいきます。
口では説明しにくいのですが、
エッジの効いたシャープで崩れのない器形、
突き詰められた釉薬の発色などに
その時代の陶工達の精神性が込められているのです。

以前読んだ書物の中に宋時代の皇帝専属の陶工の話がありました。
それによると、
一つの優れた作品を皇帝に献上する為に
何千何万という陶磁器が焼かれ、
その為に命を失った人もいたという事です

つまり、皇帝に尽くす為、
創意工夫を繰り返している間に
「神品」と謳われるような陶磁器が宋時代に完成したしたのです。

そして、それら宋時代の名品の殆どは
歴代皇帝の愛蔵品として北京の故宮に秘蔵されてきました。
歴代皇帝は中国全土に残存する骨董品を収集し続けてきたのです。
つまり、皇帝自身が一番の骨董コレクターだった訳です。

とりわけ、清の乾隆帝の骨董好きは有名で、
優れた「宋磁」の裏に自ら詩を彫り込んで愛玩したほどです。

しかし後年、
それら北京故宮に秘蔵されてきた
究極の古陶磁器はじめ宝物の多くは、
北京を脱出しなければいけない事になるのです。

「鈞窯天青釉碗」  

宋代を象徴する器形と釉色
大阪市立東洋陶磁美術館 収蔵品

http://www.moco.or.jp/jp/colle/colle/index_f.html

 
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2007年12月24日(月)

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