中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第33回
彷徨える、故宮秘蔵の宝物たち

中国人の歴史的文化財への強い想いによって、
北京を脱出した「故宮宝物」でしたが、
脱出後まだはっきりとその行く先は決まっていませんでした。

とりあえず、早急に二万もの箱に詰められた
「故宮宝物」は北京から貨物列車に乗って出発したのです。

最終的には、当時の中華民国の首都だった
南京まで運ぶ予定でしたが、
ひとまずは上海に保管されます。
その期間は以外に長く三年に及び、
その間には英国の展覧会にも出品されたりもしています。

またまた話は逸れますが、
私はこの三年間に多くの一級文物が市場に流出したと言うか、
高額で海外コレクターの手に渡ったと推測しています。

近代の中国においても、
公私の見境なく悪事にうつつを抜かす輩が多いのですから、
戦乱の時期において、
上海の倉庫に溢れかえらんばかり詰め込まれた大量の宝物に
手を出す人間や展示会への出品のどさくさに紛れて
いくつかの文物を失敬する人間がいたと考える方が自然でしょう。

そうでなければ、
世界の有名コレクションに
これ程多くの素晴らしい中国古陶磁器が
収集されている理由に説明がつきません。

もう一つ、興味深い話があります。
私の妻の祖々父は、
当時上海で骨董業を営んでいたのですが、
それはそれは羽振りが良かったと聞きます。

つまり故宮文物の上海長期滞在と関係して、
当時上海の骨董商が大きく儲ける事ができた
なにかの仕掛けがあったと想像できます。

 
←前回記事へ

2007年12月28日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ