中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第37回
一難去って、また一難

北京故宮博物院秘蔵の文物は、
人々の情熱と努力のおかげで日中戦争の戦禍の中、
何とか守りぬかれました。

そして、南京に戻ってきたそれらの故宮宝物を
もう一度正式に展示する為、
研究者達はその分類などの準備に追われていたのですが、
そういう状況でまたまた大きな問題が勃発します、
今度は共産党との内戦です。

日中戦争中もくすぶり続けた国民党と
共産党のいざこざは日中戦争終結と共に表面化し、
完全な戦争状態に入ります。

懸命に故宮宝物を守っている
蒋介石率いる国民党は次第に共産党に圧されるようになり、
ついに南京も危うくなります。

そこで、再度故宮宝物を避難させる事が決定されます。
この時期に及んでも、
まだ歴史的文物保護に固執したのは、
蒋介石の強い指示があったからに他なりませんが、
関係者の強い信念があってこそ実行に移せたと思います。

しかし再度の避難と言っても、
すでに中国国内には安全と言える場所がなくなりつつあります。

そこで、究極の避難先として意見が挙がったのが「台湾」でした。

しかしさすがに戦禍の中、
海を越え全ての故宮宝物を運び出す事は困難を極めます。
関係者は苦渋の決断として、
一級の品だけを厳選し
それらだけを優先して避難させる事を決断します。
そして数々の苦難を乗り越え
何とか台湾までそれら一級品を運ぶ事に成功します。
つまり上記のようないきさつを経て、
運び出された一級品が、
現在の台湾故宮博物院に展示されているという訳です。

このような理由で、
現在北京の故宮博物院には一流の文物が少なく、
台湾故宮博物院には素晴らしい逸品が揃っているのです。

という事で、
歴代皇帝が収集し北京故宮に秘蔵されてきた
中国の歴史的一級文物は下記のように分断されてしまいました。

1 北京故宮博物院(取り残された品)
2 台湾故宮博物院(持ち出された一級品)
3 南京博物院 (取り残された品)
4 海外に流失

いつかは、中国が統一され
中国の歴史が遺した一級文物が
同じ展示館に集まる日が来るのでしょうか?
とりあえず、
海外に流出した品物は
一足早く中国本土に買い戻されつつあります。

 
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2008年1月4日(金)

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