中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第39回
宋の五大名窯 「汝窯」

中国陶磁器史の中で、
故宮博物院に収蔵されるような「神品」と呼ばれる作品が
多く生み出されたは宋時代の事です。

その中でも、宋の五大名窯と呼ばれる作品があります。
その五つとは
「汝窯・官窯・哥窯・定窯・鈞窯」
と呼ばれる窯の事です。

本日はその中でも飛び切り稀少で
謎の多い焼物である「汝窯」について説明します。

汝窯は北宋時代、
その時の皇室の命によって焼かれてた皇室御用達の焼物でした。
その焼成法は門外不出、
極秘中の極秘とされ、
古書の記述によると、
その釉薬の中には高価な瑪瑙が使われていたとも言います。
器形は研ぎ澄まされた崩れのない精巧なもので、
釉色は幽玄で落ち着きと深みのある淡いブルーの青磁でした。

実は、この汝窯の所在はずっと謎だったのですが、
1987年河南省宝豊県大営鎮の清涼寺という場所において
窯跡が発見されます。

そこで発掘された陶片は
正に故宮博物院や世界の有名コレクションの蔵品と
同じものだったのです。

ちなみにこの汝窯の作品は
世界に数十点ほどしか存在しないと言われ、
滅多に市場に出ることはありません。
ここ数十年の間でも
国際的なオークションに出品されたのは二回だけだと記憶します。
しかし、出品されたのはいずれも小品で
しかも上級品と言えない品質だったにも関わらず、
これらには、数億円の値がつきました。
つまり、現存する中国古陶磁器の中で、
一番稀少で高価な焼物と言えばこの「汝窯」の作品を指します。

勿論、「汝窯」の素晴らしい所は価格だけでなく
その神秘的な芸術性にあります。
台湾の故宮博物院に行く機会があれば、まず
この「汝窯」の作品をじっくり見ていただきたいと思います。

見れば、いかに芸術に疎い方でも何かを感じるはずです。

汝窯蓮花式碗

汝窯青磁の淡い青色は後代の陶工が
どう頑張っても出せません。

台湾故宮博物院 作品解説リンク

 
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2008年1月9日(水)

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