中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第46回
中国古陶磁器「贋作騒動」

あれは私が中国と関わりを持ち、
最初に中国にしばらく滞在した
1990年代初頭の事だったと思います。

当時まだ久米宏氏が司会を務めていた
「ニュースステーション」をたまたま見ていると、
『岸和田市が主催する東洋の官窯陶磁器展に出展された
中国古陶磁器が全てニセモノであるとの疑惑がある』
というニュースを報道していたのです。

私はそこに映し出された中国陶磁器が、
偶然先日連れていかれたばかりの
北京の故宮博物院に展示されていた陶磁器と
同じようなものばかりだったで、
久米氏のニタリ顔よりもそちらに見入ってしまいました。

当時は中国古陶磁器などには全く関心はなかったので、
その場は
「ふーん、市が主催する展覧会でもそんな事もあるんだな」
といった程度に感じた記憶が残っています。

そして、その後私は中国古陶磁器と出会い、
またそれにのめり込んでいくのですが、
その過程においてとにかく日本で出版されている
中国古陶磁器関係の書籍を読みあさっていました。

その中に、以前ニュースステーションで見た
「岸和田市 東洋の官窯陶磁器展」
の真贋問題について書かれた書籍があったのです。

書籍のタイトルはそのものズバリ
「真贋」(落合莞爾著)というものです。

それは贋作の疑いをかけられた側、
つまり出品者側が贋作報道に対して
真っ向から反論する内容の本でした。
この本によるとこの真贋騒動のあらすじはこんな感じです。

昔から紀州徳川家によって伝世してきた
中国や朝鮮の古陶磁器が存在していた。
その話はけっこう有名であり、
また仲を取り持つ人がいた為に、
市政70周年事業として
それらの陶磁器の展示会を開催する事となる。

ところが展示会が開催されるや岸和田市に対し、
「あの陶磁器はニセモノだ、即刻中止せよ」
といった苦情が多数寄せられる。

それにニュースステーションなど報道機関が飛びついて
「真贋論争」が巻き起こった。

報道機関側と出品者側、
それぞれが雇った陶磁器専門家の鑑定を基にして
論争に拍車がかかるが、その対立は平行線を辿る。

そして、解決を見ないままに展示会は開幕。
その後、この話は闇の中へ・・

私はこの事件の中に古陶磁器に関する鑑定の現実が
全て凝縮されていると思いました。

詳しくは次回へ・・

 
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2008年1月25日(金)

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