中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第47回
真贋論争の結末

岸和田市が主催した「東洋の官窯陶磁器展」において、
出品された陶磁器の全てが贋作ではないかという疑惑が指摘され、
メディアを巻き込んでの大騒動が起こりました。

後に、その顛末を出品者側から書いた
「真贋」(落合莞爾著)という本を読んだ感想なのですが、
私はこういう贋作騒動は絶対に短時間内に
解決の日を見ないものであるとの認識を持ちました。

贋作騒動に結論が出せない一番の理由は、
その答えを100パーセント出せる人なんて
この世に存在しない事です。
芸術品の真贋を解析するコンピュータなんてないのです。

この件についてメディア側は
「疑惑がかけられているのだから正式な鑑定を受けたらどうだ」
と要求し「その道の専門家」または
「その道の権威」と呼ばれる人に意見を聞いて回ります。

しかし、「その道の専門家」または
「その道の権威」とは一体誰の事なのでしょうか?
古陶磁器学を専門とする大学教授でしょうか?
博物館の鑑定員でしょうか?
または有名骨董屋さんでしょうか?
国際的オークションの鑑定士でしょうか?

私に分かる事は「権威」と呼ばれる方が
古陶磁器を100パーセント鑑定できるかと言えば、
まず無理な話だという事です。

そういう方々は贋作の最前線にいませんので、
教科書にあるような判断だけに頼り、
高等な贋作の前では無力な場合も多い訳です。
(勿論、鑑識眼が非常に高い方もおられます)

そういう「権威」に鑑定を依頼したメディア側に対して、
出品者側は北京大学の教授に
贋作との疑いをかけられたそれら中国古陶磁器を
鑑定して貰う事になります。

そして、その教授は太鼓判を押して
「これは本物であるばかりか、稀に見る素晴らしい陶磁器だ」
と絶賛するのです。

こうなれば、どちらの権威を信じるかという問題に発展し、
議論は平行線を辿り真贋論争の結論など出る訳はありません。

私が思うに、真贋論争の結論は
それらの陶磁器が色々な人の手に渡り、
さまざまなオークションなどで人の目に晒され、
名のある博物館に本物として収蔵されるまで収まりません。

つまり、本物はどれだけ時間がかかっても必ず世に出て、
人の目に触れるものです。
個人秘蔵などと言っても、
それに億の価値があれば必ず誰かが売りに出します。
何代も続く家系でも、
経済的にいつまでも裕福なままとは限らないからです。

一部の人が名品だ名品だと騒いでいるにも関わらず、
いつまで経っても出世しない芸術品には
やはり問題があると見て良いと思います。

その点では株も同じです。

 
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2008年1月28日(月)

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