第59回
ハイハイ天さん、天さんです
今回の依頼品 シルク刺繍画「仙女乗鳳」
<依頼人> F田K織さん
<性別> 女性
<年齢> 天青庵より一つ上
<依頼品のサイズ> W=63センチ H=95センチ
<依頼人のサイズ> 同上
※依頼品のエピソード
1998年頃、実家に里帰りしていた時に母が
「あんたに見せたい物が有る」と言い、
洋服箪笥の奥から大事そうに持ってきた物がこの刺繍画でした。
一目見て、気に入ってしまいました。
母は私に譲ると言い
「だけど売るんだったら私が死んでから売りなさい」
と言いました。
経緯を聞きました処、
母が道北の方で開業している
開業医から譲り受けた物だと聞かされました。
その開業医が借金の担保に貰ったそうです。
私の母に恩の有る事から(理由はわかりません。)
開業医から譲り受けたそうです。
ちなみに母はその開業医から
「この刺繍画で家一軒建てたらどうですか?」
と言われたそうです。
何卒鑑定の方を宜しくお願い致します。
刺繍画全体 |

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刺繍部分 |

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銘款 |

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<鑑定結果>
刺繍画については専門ではないのですが、
この刺繍画が素晴らしいものである事は分かります。
時代的には、数十年前に作られたとしか言えませんが、
非常に丁寧な作風で、私がよく使うフレーズを用いれば
「いい仕事してまんなぁ〜」と言ったところでしょうか。
落款には「揚州繍品」とあります。
揚州とは江蘇省にあるのですが、
中国の四大刺繍の「蘇繍、湘繍、粤繍、蜀繍」の中でも
最高峰とされる「蘇繍」の伝統を見事に引き継いでいます。
鑑定の品はそういう流れの上にある高級工芸品だと思います。
ただ、骨董と呼べるまでの古いものではなさそうですので、
これで家が建つような事はないと思います。
こういう品のコレクターは日本にそう多くいませんので、
取引価格は運に左右されます。
つまり、これを気に入り
欲しい人がつける価格が取引価格となります。
こういう類の作品は芸術性が高い割に
金銭的な価値がつき難い代表的な品物と思います。
<結論>
私も、由緒ある開業医の方に何か貰いたいです。
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