第66回
ハイハイ天さん、天さんデス
○今回の依頼者
<依頼人名>まえか
<性別>男性
<年齢>60歳
<発掘場所> 東京の小さな骨董屋が集まっているビルで買いました。
<買値>2万円
<直径>28cm
<重量>1.4キログラム(キロあたり1万4285円)
○依頼文
この絵のあまりの下手さ加減に、
私の妻は見た瞬間、あきれて噴出し、
笑いころげて止まらなくなりました。
<中略>
手抜きで下手な絵付けの皿ならいくらでもありますが、
真面目に描いてるようでいて
これだけ下手なの絵は珍しいのではないですか?
それともこういう出来の悪い本物の骨董って
案外普通にあるのでしょうか?
それなら集めてみたいです。
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依頼品 正面 |
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依頼品底面 清朝時代の銘款が書かれているが・・ |
○鑑定結果
もちろん、本物の清朝官窯の品ではございません。
焼き物の底面に「大清○○年製」とか
「大明○○年製」などの銘款が入った焼き物は、
その時代の皇帝直属の窯(官窯)で焼かれた陶磁器であり、
本物なら大変高価なものとなります。
しかし、清時代にはすでにニセモノを作るという意識ではなく、
器物の底面に過去の銘款を入れるのが流行ったと言うか、
過去の焼き物を写した焼き物には
過去の時代の銘款を入れる事が普通に行われてきました。
今の言葉で言えば
「リスペクト、過去の焼き物」と言った感じです。
清時代にはすでに
明時代の銘款を入れた焼き物が登場したぐらいですから、
その後の中国では普通の焼き物にすら
「大清○○年製」なんて銘款が入っています。
日本の古伊万里焼においても、
底面を見れば「大明成化年製」
なんていう中国の官窯の銘款が入る物が沢山あります。
依頼の焼き物もそういう流れの中で、
単にデザインとして
底面に過去の銘款を入れただけの品だと思えば良いと思います。
人を騙す為に造られた悪い意味のニセモノではなく、
使う為に焼かれた日常の焼き物ですので、
楽しい絵柄と共に色々な料理を盛って楽しんで下さい。
器形も絵柄も素敵だと思います。
○結論
底面に「大明○○年製」や
「大清○○年製」と書かれた陶磁器が本物なら、
最低数十万円平均数百万、最高何億円いたします。
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