第77回
ハイハイ天さん、天さんデス
今回はこのコーナーの本来の趣旨に戻って、
マトモな鑑定依頼をマトモに鑑定いたします。
○今回の依頼者
ペンネーム:K社長
性別:男 40歳
職業:貿易会社経営
年収:1200万円
○依頼文
香港を拠点に中国と貿易をしています。
取引先がある南京で骨董ブローカーと知り合い
そこから買いました。
彼らは田舎を中心に全国から骨董を買い集めて、
常連客を中心に売ってる、いわゆる蔵出し人です。
この花瓶は昨年、彼らから4万円ほどで買いました。
宋時代の龍泉窯かと思います。
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全体の造形に甘さがみられる。 |
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口縁の部分で素地の土の色が
透けて見えるのが、南宋官窯の特色だが・・ |
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素地の土が持つ自然な色と思えない発色・・ |
○鑑定結果
これはよく見かける贋作ですので、
詳しく説明したいと思います。
まず、この陶磁器は龍泉窯ではなく、
南宋郊壇下官窯を模した作品です。
この作品は、南宋郊壇下官窯の特徴である
「紫口鉄足」を真似ていますが、
それを大袈裟にやり過ぎて不自然なものとなっています。
「紫口鉄足」という言葉は
南宋時代の官窯を表現する時に用いられます。
それは、郊壇下官窯で使われた土が
黒っぽく発色するものでしたので、
その上に青磁釉をかけて焼くと、
釉薬が垂れて
薄くなる口縁の部分の素地の土の色が透けて「紫色」に、
そして釉薬をかけていない高台の部分が
素地の色そのままの黒色に見える事から作られた言葉です。
依頼の作品は、わざわざそれらしく見せる為に
鉄分の多い釉薬を塗ってそれを模倣しています。
このような作品には二種類あって、
一つは現在の龍泉地方で真面目な陶工が倣古品として作陶したもの、
もう一つは最初から贋作として流通させようとしたものです。
この作品はまず造形が稚拙なので、
後者であると言わざるを得ません。
○結論
もし今回依頼の『南宋官窯管耳瓶』が真品だとすれば、
サザビーズオークションで確実に数億円で落札される事となります。
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