中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第79
色彩の競演「釉上彩」

まず、この作品を見て下さい。

赤・青・黄・緑・そして素地の白。
五つの色で綺麗に塗り分けられていますよね。

では、ここで問題です。
素地の白を除いて、一つだけ仲間外れの色があります、
それは何色でしょうか?

色の三原色は赤・青・黄なので緑が仲間外れとなりますが、
焼き物においての仲間外れはいつも「青」なのです。

では一体青色の何が仲間外れなのでしょう。
答えは、青以外のの色は全てガラス質の透明釉の上に描かれたもの、
逆に青だけが透明釉の下に描かれているという事です。
この手の色絵磁器の場合、まず青と白だけの焼き物を作り、
その上からいろいろな色で彩色して
このようにカラフルな焼物が完成するのです。

具体的に製造工程を説明すると、
まず何も描かれていない素地のまま一度素焼きし、
その上に青色に発色するコバルトで図柄を描き、
ガラス質の透明釉をかけて
1200度以上の高温でまず一回目の焼きを行います。

この作業を本焼とか下絵付けなどと呼びます。

これで、白地に青の模様だけですが
一応完成された陶磁器が焼き上がります。
画像の焼物で言えば、
この段階では龍の背ビレ部分とか
葉っぱの飾り文様の一枚だけが青色で描かれた
ヘンテコな状態が作陶の第一段階となります。

そして、その青色だけの焼物の上に
他の色を重ねて文様を描いていきます。
文様が完成すると
800度ぐらいの低火度の窯でその色を焼付けます。

この作業を上絵付けと呼びます。

何故このように面倒な作業をするかと言えば、
釉薬に含まれる金属によって、
その発色温度が違うからです。
特にキレイな「真っ青」の発色を得る為には
酸化コバルトを透明釉の下に塗り、
高い温度で還元焼成する必要があります。

こういう技術を積み重ね、
色とりどりの美しい磁器が生み出されていった訳です。
しかし、この美しさには一つの弱点があります。
釉上彩(青以外の色)の部分は簡単に焼き付けただけですので
長年の使用で少しづつ剥落してしまいます。

つまり、このように煌びやかな磁器は
食器としては使用しにくいという事です。

 
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2008年4月11日(金)

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