中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第103回
新企画!! 「中国陶磁器に盛って映える料理」

中国古陶磁器コラムも明時代の中盤に差し掛かってきました。

このまま清朝時代まで、
何も対処せずに突き進んでいくとあと30回、
つまり現在の原油価格1バレル=133ドルと同じ
133回目でこのコラムの連載のネタは尽きてしまいます。

という事で、いきなりで無理やりですが
「中国陶磁器に盛って映える料理」(略して、中国料理)
という新企画を始めます。

記念すべき第一回は当然ながら
「海老のチリソース」となります。

この「海老のチリソース」通称「エビチリ」
略称「エビチ」は何故か日本人に大人気です。

では中国ではどうか?と言えば
こんな料理全くポピュラーな料理ではありません。
と言うか、基本的に日本でいう
「エビチリ」なんて料理は存在いたしません。

「海老のチリソース」は四川料理の一つで
中国では「乾焼大蝦」とか「乾焼蝦仁」と呼び表します。
「乾焼」(ガンシャオ)というのが調理法で、
大蝦(ターシャ)が海老の事を表しています。

中国料理ではこのように前半分に調理法、
後半分に材料名といった並びで料理名を付ける場合が多いので、
もし中国のレストランでメニューを見る機会があれば
意識してみて下さい。

例えば、焼き餃子なら「鍋貼餃子」です。
「鍋貼」が鍋に貼り付けるようにして焼く
という調理法となっています。

また「紅焼狗肉」という有名な料理があります。
「紅焼」が醤油煮込み、
「狗肉」が何の肉かは自分で調べて下さい。。

話が脱線しました。

何故中国に「エビチリ」が存在しないかと言えば、
「エビチリ」は日本で生まれた和製中国料理だからです。
これを考案した人は「陳建民」そう、
料理の鉄人である陳健一さんのお父さんです。

陳建民さんは日本に四川料理を広めた第一人者ですが、
陳建民さんが日本でお店を始められた頃には
四川料理で使う食材や調味料や香辛料などの入手が
大変困難だったそうです。

中国版エビチリである「乾焼大蝦」にまず欠かせない素材として
頭付きの新鮮な海老があります。

と言うのは、本物のエビチリである「乾焼大蝦」の赤色は
豆板醤と共に海老自体の殻や頭の味噌から出る色だからです。
そしてその味付けにも海老の殻や
味噌から出るエキスが大変重要となります。

当時の日本で新鮮な頭付きの海老を手に入れる事は難しく、
あったとしても大変高価なものだったようです。
仕方なく陳建民さんは本物の「乾焼大蝦」を作る事を諦め、
日本で手に入る食材を用い簡単に美味しく作れるように
「乾焼大蝦」を「エビチリ」にアレンジしたのです。

この話は次回の「中国陶磁器に盛って映える料理」に続きます。

普通の日本のエビチリ

中国のエビチリと日本のエビチリの作り方は全く違う
 
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2008年6月6日(金)

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