中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第105回
明時代の民間陶磁器「法花」

「法花」という陶磁器があります。
これも最近のコラムで取り上げてきている
「明時代の民間のパワー」
が作り出した作品の一つだと言えるでしょう。

「法花」の技法を簡単に説明すれば、
器物に直接図柄を描くのではなく、
まず輪郭を土を盛り上げて描いておき、
そこに色を差し込んでいく技法です。

何故、そのような面倒で複雑な技法を
当時の陶工が発明したのか推測すると、
前回のコラムで書いたように
当時民間の窯が使える色の種類には
制限があった事が関係していると考えられます。

「法花」の色彩は
「紺色・黄色・紫色」を基調とした地味なものとなります。
そのように少ない色を用いて、豪華さや芸術性を表現する為には、
色以外の装飾方法を付け加えなければならなかったのでしょう。

そのような推移で作られたと推測される「法花」という焼物ですが、
何故中国語で「法花」という名前がついているのか説明いたします。
「法花」と聞くと、イメージ的には何となく
仏教に関連したような言葉のような気がしますよね。
でも、これは
別にそういう宗教的な儀式に使う陶磁器ではありません。

実は『法』という漢字には
「境界線を引く」という意味があるのです。
そして『花』とは図柄とか模様の事です。

つまり、「法花」という漢字二文字は、
境界線を引いてから色を塗り、
図柄を描いた陶磁器という作業を
器物の名として付けただけのものだったのです。

話は変わりますが、
現代でもこの『法』という漢字はよく使われますよね。

でも、若干本来の意味と違う使われ方をしている場合があります。
つまり、権力が強い側の正義感や
常識などを反映して仕切るというような意味です。

そのような場合には
『法』=「境界線を引く」というこの言葉が持つ
本来の意味を思い起こせば良いのではないでしようか。

「法花」の作品
これも、少ない色数で独自の作風を創り出している。


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2008年6月11日(水)

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