中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第108回
青磁における「青」の意味

中国で発明され、
究極まで改良されていった『青磁』。

青磁とは字の通り、青い磁器です。
しかし、この青色は
絵の具で染めてできた青色ではありません。

僅かな含有金属からの発色と
光の屈折率と釉薬内に閉じ込められた細かい気泡などの
バランスによって偶然できた青色なのです。

透明なガラスでもその断面を縦に見れば
緑色や青色に見えますよね。
基本的に青磁の発色はあれと同じ現象なのです。

ですので、青磁の発色はさまざまです。
透き通るような「青」、
渋く落ち着きのある「青」、
緑に近い「青」、灰色に近い「青」など・・
とにかく青磁の世界で使われる「青」という色は
細かく分類されそれぞれが趣のある言葉となっています。

その代表的なものをいくつか挙げてみましょう。

<天青>
夏のにわか雨が過ぎ去った後の雲ひとつない澄み切った空の色。

<梅子青>
実を結んだばかりのまだ初々しく新鮮な梅の実の青緑色。

<灰青>
灰色の曇り空のような薄暗い青色。

<粉青>
しっとりと落ち着きのある青色。

<澱青>
色々な色が混じりあってできた、濁った青色。

このようにいろいろな青色の発色を楽しむ青磁ですが、
私が個人的に好きなのは「粉青」と呼ばれる発色です。

これは、特に南宋時代の龍泉窯で焼かれた青磁に多い発色ですが、
ピカピカと光ったものではなく、
しっとりと落ち着きのある青色です。

特に、日本においてはそれらは砧青磁と呼ばれ大変人気があり、
高額で取引されています。

「粉青」のしっとりとした発色

では、この「粉青」のしっとりした青色は
どのような原理で発色しているのでしょう?

「粉青」色の発色に欠かせない技術的要素を挙げますと・・

1 釉薬がたいへん厚くかかっている。
(中には、胎土部分よりも釉薬の方が厚い作品もあります)

2 釉薬の中に細かい気泡が無数に入っている。
気泡のおかげで透明感が減り、しっとりとした色になる。

3 精製された青磁釉と完全な還元焼成のコントロール

釉薬の厚さと無数に入る気泡が光を和らげる

まぁ、技術的な事を書いても全く面白くありませんので、
是非一度現物を見て下さい。
南宋時代の龍泉窯で焼かれた砧青磁は
日本への輸出品でしたので、
今でもけっこう日本に残っております。

 
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2008年6月18日(水)

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