中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第113回
ハイハイ天さん、天さんデス

○今回の依頼者

[ペンネーム]  マツシマン
[お住まい]   京都
[職業]      エンジニア

○依頼文

いつも楽しく拝見しております。
コラムを読むにつれ
中国についての知識が深まり大変勉強になっています。

ちなみに、鑑定して頂きたいのは明時代の古染付けの壷です。
以前、東京の骨董市で購入しました。
値引きしてもらったので5万円前後で購入できました。

もう一つは漢時代の緑釉壷です。
これは友人のコレクターから10万円くらいで譲って頂きました。

鑑定よろしくおねがいします。

漢時代の壺

明時代の青花磁器

 


○鑑定結果

まずに漢時代の大壺の方ですが、
これは本物だと思います。
ただし、これは緑釉ではなく「灰釉陶」と呼ばれるものです。

鉛を媒体にした緑釉の焼物は実用品ではなく
主に明器として使用されましたが、
この「灰釉陶」はあくまでも実用品として使用されました。

依頼の品は良い意味で言えば正統的、
悪く言えばありきたりの漢時代の「灰釉陶」です。
価格的には底に水漏れする程の
にゅう(ひび割れ)があるとの事ですから、
買われた価格が適正だと思います。

次に明時代の青花磁器ですが、
これは日本に残されている「古染付」ではなく、
あくまでも中国国内向きの雑器として焼かれたものです。
「古染付」という名称は
あくまでも日本向けに作られた輸出製品を指します。

ただし、依頼品はここ10年来
大量に出回っているニセモノだと思います。
明時代の民窯青花磁器の贋作はすでに芸術の域に達していて
その見極めは大変難しいものとなってきています。

少し赤っぽい胎土、胴継ぎの手法、手馴れた筆跡など、
多少目に自信がある人でも手の込んだ贋作には騙されます。
私も以前、本物だと思っていた
安い明時代の雑器が贋作だった事に衝撃を受けました。
「そんな何十元の品を贋作しても儲からないだろう」
と思っていたからです。

実際に贋作業者から大量の贋作の実物を見せられたので、
明時代の民窯青花雑器への見方が大きく変わりました。

依頼品はそのような贋作の中でも
そんなに程度の良いものではありません。
不自然な所はやはり表面の釉薬の艶と絵付けです。
特に釉薬には薬品処理がされていると見られます。
文様の筆跡もぎこちなく、
大量生産品独特の躍動感や勢いとか
流れのようなものが感じられません。


○結論

中国骨董のホンモノが存在する割合としては、
日本の骨董市で売られている品よりも、
友人から売ってもらった品の方が若干高い気がいたします。

 
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2008年6月30日(月)

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