中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第121回
私のお気に入りの一品

今回の「私のお気に入りの一品」は
清朝乾隆期の官窯で焼かれたお皿です。

「祭紅」と呼ばれる、清朝官窯独特の赤色の発色

このお皿の赤色を見て、皆様は何を連想されますか?
私はすぐに「血」の色を連想いたしました。
そう、このお皿は清時代、
紫禁城内で起こった血塗られたドラマと関係のあるお皿なのです。

すみません、嘘をついてしまいました。

実は、このお皿はそんなオドロオドロしい皿ではなく、
清朝官窯で大量に焼かれたありきたりの品です。
あまりにもありきたりなので血のドラマの嘘でもつかなければ、
この皿について話題がなかったのです。

この皿の赤色は「祭紅」と言われ、
その字の通り、祭事の際に使用される赤色のお皿です。
使い方としては、
紫禁城で何かのイベントが行われた時などに
色々な食べ物やお菓子が
この赤いお皿にテンコ盛りされていたと想像します。

そんなありきたりのお皿ですが、
私には特別の思い入れがあります。
実は、このお皿は私が生まれて初めて
オークションで競い落とした品なのです。

あれは忘れもしない1996年10月、
今から12年前の事でした。
当時、北京でやり始めた商売が何故か当り、
毎月少なからぬ人民元の現金が懐に転がり込んできました。

そのまま、現金で置いておいても仕方ないので、
私は趣味と投資を兼ねて古陶磁器を買う事にしました。
しかし、投資として街中で古陶磁器を買う訳にはいきません。
骨董が資産価値を保つ為には、
やはり有名オークションを
何度か通っている事が肝心となるのです。

そういう意味から、
私は多少割高になる事を承知で、
中国古陶磁器を有名オークションで買っていく事になります。

オークションの前には、
出品される品のカタログが販売され、
また前日には下見会があります。
そこで自分の狙いの品を決め、
いくらまでなら買うかなどといろいろと策略を練るのです。

オークションでは、特定の品に人気が集中します。
皆見るべき所は同じなので、
人気のある品はとことん人気化し、
人気のない品はいくら安くても誰も買いません。

私が最初に参加したオークションでこんな事がありました。
それも清朝の官窯品でしたが、
予想最低落札価格4万元(当時48万円)の
小さな菊模様お碗の価格を5人程が競い上げ、
最終的には500万円を超えて落札されました。

そんな事もあり、
私は自分が買おうと思っていたこのお皿に対し、
最高3万元までは競っていこうと決めていました。
ちなみに予想最低落札価格は1.5万元(18万円)です。

さぁ、オークションの開始です。
「○○番 清乾隆 祭紅盤 1.5万元からスタート!」の
掛け声と同時に私は
自分のナンバープレートを高々と挙げていました。
人一倍張り切って、挙げていました。

「さぁ、皆セリかけてくるぞ・・3万元までは譲らんからな!」
と気合を入れていました。
しかし、周りはやけに静かです。
そう誰一人、セリかけてこないのです。

シーンと静まったオークション会場に、響き渡る
「はい、1.5万元で○○番の方、ハンマープライス!!」の声。

そんな、ちょっぴり恥ずかしかった初オークションの思い出が
この皿に詰まっているのです。

「大清乾隆年製」とかかれた銘款
真贋を見分ける貴重な材料となる
 
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2008年7月18日(金)

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