第149回
中国古陶磁器の金銭的価値
以前のコラムでも書きましたが、
骨董品を収集する醍醐味の一つとして金銭的な価値があります。
骨董品に関する金銭的な話として身近に存在するのは、
高価な骨董品をあり得ない安価で手に入れる事に成功するといった、
いわゆる「掘り出しモノ」に纏わる話でしょう。
骨董歴が長い人は必ず自慢の「掘り出しモノ」を
一つや二つ持っておられます。
しかしそういった話も、
実際に国際的なオークションや歴史ある有力骨董店の鑑定に出すと
色褪せてしまう場合が殆どだと言うのが現実です。
私の骨董に対する自分の信念と言うか、
モノを見る時の芯となる考え方は
「骨董品に掘り出しモノを求めてはいけない、
良い骨董は高価だし、あるべき場所にしか存在しない」
というものです。
ですので、私には掘り出しモノの自慢話は殆どありません。
唯一の自慢は、
北京の骨董朝市で地元の業者ですら判断に困っていた
清朝初期の真っ赤な大きな植木鉢を
600元で他の業者から奪うように買った事です。
ニセモノだとすれば600元は大変高価な買い物になります。
日本に帰国する際、
大きくて持ち帰れないので北京でのオークションにかけました。
その600元の陶磁器は、
あれよあれよと価格が上がり、
ついには100倍の6万元(当時のレートで100万以上)で
売れていました。
そういう事がたまにあるから、骨董探しは楽しいのです。
勿論、ある程度の鑑識眼を持たない人の所には
殆どその偶然はやってきませんが・・
骨董品収集を楽しくする為のもう一つの金銭的価値は、
「値上がり」です。
つまり、投資で言う「キャピタルゲイン」です。
私が中国古陶磁器収集に勤しんでいた
90〜95年頃の古陶磁器の価格は
現在基本的に2〜3倍になっていると思います。
もちろん、希少価値の高い古陶磁器の中には
10倍以上になっているものも少なからず存在します。
そういう、実利的な部分を切り離してしまっては
骨董品の楽しみ方は半減してしまいます。
写真は「南宋時代の官窯青磁」
2001年雲南芸術オークションで
1100万元(当時2億円相当)で落札されています。
こういう品物はそうそう市中に出ませんので、
もし現在オークションにかかれば5億円は堅いと思います。
希少な古陶磁器にはそういう金銭的価値が存在します。
|