中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第152回
中国料理

今回も「中国古陶磁器に盛って映える料理
略して、中国料理のコーナーです。
今回のテーマはフカヒレです。

先日行われた第1044回世界中国料理連絡協議会において配られた
アンケートの結果が出ています。

中でも注目すべきは
「高級中国料理としてイメージするものは?」
という質問に対して、
81%の人が「フカヒレ」だと答えている事です。

フカヒレとは、名前の通り
鮫のヒレを乾燥させたものをもう一度戻して食する高級食材です。

皆様も高い対価を支払い、
更にひれ伏しながらフカヒレ料理を食された経験は
一、二度あることだと思います。

でも、皆様もう一度頭を真っ白にしてよくよく考えて下さい。

あなたは鮫を食べますか?
もし食べるとしても、鮫は高級魚ですか?
更に、もし鮫を食べたとしても「ヒレ」を食べますか?
あなたはカジキを釣りに行って、
鮫がつれたら喜んで持って帰りますか?
漁師の網に大量の鮫がかかったら、漁師は喜びますか?

答えはNOですよね。

つまり、鮫のヒレなんて普段は誰も必要としない、
掃いて捨てるような存在なんです。

鮫のヒレには、
殆ど金銭的価値なんてありませんし、味もありません。

それが食材としての「フカヒレ」に変わったとたん、
価格は跳ね上がります。

さらに、美味しく調理され福臨門のテーブルに上がる頃には、
その価格は私ども庶民が一生働いても
それを口にする事ができない程の悪魔の価格となっています。

では、なぜ「フカヒレ」は高価なのでしょうか?
なぜ、金銭的に殆ど無価値な鮫のヒレが、
何万円もする「フカヒレの姿煮込み」に変身するのでしょうか?

実は「フカヒレの姿煮込み」の価格の大部分は
「人の手間賃」なのです。

「人の手間」を食す・・・
このような、食へのこだわりと言うか価値観は
中国独特の歴史が培った文化風習と言えるでしょう。

中国の歴代皇帝はその権力を利用し、
意のままに中国各地からの食材を献上させ、
一流の専属調理人たちに調理させました。
そして、贅沢三昧の飽食を繰り返してきたのです。

その頂点が有名な満漢全席のような皇帝料理でしょう。

通常の食材に飽き足りなくなった皇族達の次のターゲットは
「希少な食材」です。

有名なツバメの巣などもその範疇に入りますが、
それら「希少な食材」は総じて美味しくありません。

その美味しくない食材を劇的に美味しく変身させるその陰には、
調理人の涙ぐましい「手間と努力」があるのです。

昔の皇帝料理に、
体長数cmほどの小海老の目だけを集めた料理があります。

何人もの調理人が、
何日もかかって集めた海老の目の料理を
皇族達はありがたくもなく一瞬で飲み込んでしまいます。

それは正に食材を食するのではなく
「人の手間」を食す行為だと言えるでしょう。

美味しくもなんともない鮫のヒレが、
高価で大変おいしい「フカヒレの姿煮込み」に変身するまでの
具体的な過程について、
次回コラムで詳しく説明いたします。

高価なフカヒレの姿煮込み

その美味しさや価格は素材本来のものはなく
「人の手間」から来るものである
 
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2008年9月29日(月)

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