第153回
ハイハイ天さん、天さんデス
○依頼文
初めまして 天青庵様
私は58歳の大阪に住む主婦です。
株や骨董や絵画にも大変興味をもっています。
お正月に、北京へ観光に行ってきました。
その時、旅行会社から、故宮博物院の中の
清韻堂という店に案内され、
そこで何の知識もなく美しく感じた品を買ってしまいました。
鑑定書らしき物も付いていましたが、
帰国後どういう物か気になり
インターネットで調べておりましたところ、
天青庵様の記事に出会いました。
大変興味深く、総て読まして頂きましたが、
読んでいるうちに本当に古い物なのか、
相当の価格だったのか、心配になってきました。
そこで、大変申し訳御座いませんが、
ご意見を賜りたく連絡させて頂きました。
どうか宜しくお願いします。
最初に、清韻堂という店をご存じでしたら
どのような店かお教え下さい。
又買った品物と値段は、
粉彩皮球花灌 12000元、粉彩小杯 5000元でした。
○鑑定結果
この依頼も鑑定が遅くなり申し訳ございませんでした。
この商品を売った店名が出ているのでどうしようかと悩みましたが、
今後勘違いされる方が出ないように、今回取り上げました。
清韻堂という店名は覚えておりませんが、、
紫禁城に向かって右の奥の方にあるお店なら入った事があります。
まず、これらの商品は「倣古品」と呼ばれ、
過去の名品をできるだけ精巧にコピーしたものです。
つまり、古陶磁器ではございません。
そして、鑑定書のような物も
このお店が発行したもので何の効力もない上、
それを見る限り
どこにも「清時代の古陶磁器」とは書いてありません。
書いてあるのは
「この焼き物は粉彩という技法で描かれた、
蓋付きの瓶である」
と言う事だけです。
一言も焼かれた年代などには言及していません。
もし、店員がこれを清時代の
本物の官窯の古陶磁器だと言って売れば詐欺になります。
しかし、鑑定書にはどこにも
清時代の本物とは書いていませんので、
買ってから文句を言っても
「言った、言わない」の水掛け論になってしまうと思います。
価格も本物ならべらぼうに安く、
コピー品なら相当高いという中途半端な価格となっています。
ただ、しっかりとコピーされた品物ですので、
観賞用として十分な機能を果たすと思います。
○結論
旅行で中国に行き、
本物の骨董を買える確率はほとんどないと思って下さい。
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依頼品 精巧にコピーしているが・・ |
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清時代の官窯の銘款が入る |
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鑑定書らしきものには
一言も時代を特定する記述がない |
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