中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第155回
中国料理

今回も「中国古陶磁器に盛って映える料理
略して、中国料理のコーナーです。

今回も引き続き、フカヒレの話です。
前回のコラムにも書いたように、
中国の皇族達は食を追求するあまり、
希少でゲテモノ的な食材にまで手を出すようになりました。

例えば、フカヒレやツバメの巣、魚の胃袋、
鹿のアキレス腱などです。
しかし、総じてそれらの希少価値の高い食材は
それ自体が美味しいものではありません。

宮廷のお抱え調理人達は、
それらを何とか究極の美味しさまで
もっていかなければなりません。
それを達成する為に惜しみない手間がかけられたのです。

では、具体的にどのようにして鮫のヒレが
美味しい「フカヒレの姿煮込み」に変身するかを説明いたします。

フカヒレに使用される鮫は特定の種類に限定される事はありません。
基本的にどんな鮫でもフカヒレ様になる事が許されます。
大きい鮫は大きいフカヒレ、
小さな鮫は小さなフカヒレになります。

香港の高級レストランの入り口などによく飾ってある
バカでかいフカヒレはジンベイザメやウバザメ、
ホオジロザメなどの鰭(ヒレ)です。

日常的に使われるのは、
ヨシキリザメ、アオザメ、ネズミザメなどの鰭です。

一般的に多く使用されるアオザメ

フカヒレの処理の仕方としては、
まず乾燥した鮫のヒレを茹でて
表面の黒い皮を丹念に取り除きます。

熱湯で煮て、皮を剥いだフカヒレ

尾ビレが一番高く次に背ビレ、
他のヒレも使用されるが安い

そして、次に軟骨の部分と
臭みの強いゼラチン質の部分や脂肪を取り除きます。

よく誤解されている方がいるのですが、
フカヒレ自体はゼラチン質ではありません。

フカヒレは繊維質であって、
ゼラチン質はその回りを取り囲む肉質です。
ですので、フカヒレはいくら煮込んでも
ゼラチンのように溶けてしまう事はありません。

逆にフカヒレの繊維を取り囲む脂肪や
ゼラチンの部分はとても臭みが強いので、
調理の過程でこれを取り除く事が重要な作業となります。

それらはフカヒレの繊維一本一本に纏わりついていますので、
大変時間のかかる根気のいる作業となります。

そういう意味からも、香港などで最高級とされるのは、
フカヒレが姿の形のまま出てくる扒翅(姿煮)なるものではなく、
特別に大きい鮫のヒレの繊維が
一本一本ばらされて調理された「金糸」というフカヒレです。

これには、全く臭みはありません。
ただし、その「金糸」は
直径3mm以上ある大変太い繊維のものに限り、
一般的にフカヒレスープなどに使用される
散翅(バラのフカヒレ)とは全く違うものです。

フカヒレの太い繊維を
一本一本に分けた「金糸」


太ければ太いほど価値は高い

そう高級ではない、
一般的なフカヒレスープなどに使用されるフカヒレは
姿煮として使用できる部分を取り除いた後のクズヒレを
重曹などで処理したものとなります。
また、最近では、フカヒレの偽物も一般的に出回っています。

偽物と本物の大きな違いは噛んだ時の感覚です。
本物は僅かな力で「プチッ」と噛み切れますが、
偽物は「グニ、ブチッ」という感じで
噛み切る爽快感が全くありません。

次回は実際の調理に入ります。

一見「金糸」しかし実際は「偽物」

食感の違いは歴然だが、
本物を食べた事がない人にはまず判別できない。

 
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2008年10月6日(月)

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