第156回
ハイハイ天さん、天さんデス
○今回の依頼者
[お名前] 今井大貴さん
[職業] 中小メーカーの営業
[年収] 550万円 (今年は少し下がるらしい)
○依頼文
もし宜しければ我が家の骨董品を鑑定して頂きたいと存じます。
これは、所謂倒産歳(原文のまま記載させていただきましたが、
唐三彩の誤り)というもので、
知り合いの方からタダで頂きました。
なぜそんな上手い話に出会えたかといいますと、
その方が誤って作品を破損されてしまったからです。
(つまり価値がゼロになったのです)
付着した泥をクリーニングしている最中に落としてしまい、
幾つかのカケラに分裂してしましました。
壊した事でヤケになってしまい、
そのまま顔部分の色まで落としてしまったそうです。
手元に置いておくのは辛いからというので、
私が引き取るに至ったのであります。
カケラをつなぎ合わせて再現して見ると
大きさは約30センチほどありました。
美術的価値が今でもあるのでしたら
修復を依頼して、後世に伝えて行きたいと考えていますが
それほどの価値があるのかどうか今悩んでいます。
アドバイス頂けると幸いです、 宜しくお願い申し上げます。
○鑑定結果
これは、偽物か本物かを議論する前に
「美術的価値があるか?ないか?」について述べたいと思います。
唐三彩は大量に出土していますので、
金銭的な価値については正に「ピンキリ」です。
高いものは、まず作行きが非常に丁寧なもの、
且つ希少なもの、保存状態の良いものです。
全く同じように立派な唐三彩の馬でも
億の値がつくものもあれば、
数万円で買えるものもあります。
そういう意味から依頼品を見ますと
「本物でも偽物でも美術的価値も金銭的価値も殆どナシ」
と言えます。
写真だけなので断言はできませんが、
私は依頼品を「偽物をワザとらしく補修したもの、
又は本物の一部を用い大きく補修された品物」
と推測いたしました。
もし落として割れていなくても、
高いものじゃありませんし、
割れてしまった後では更に価値はございません。
ですので、「後世に伝える」という心配をされなくても
けっこうだと思います。
○結論
例え本物の骨董品でも、
(特に美術品カテゴリーでは)一見して
「素晴らしいなぁ〜」と感じない品には
大した価値がない場合がほとんどです。
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依頼品
本物だとしても、割れる以前に
大きな補修がされていると推定。
いずれにしても美術品として、
見るべきところはあまりない。 |
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洛陽博物館蔵品の同種の唐三彩獣神
同時代同種の物でも、
このような作品には驚く程の高値がつく。 |
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ここまで割れてしまったら、
商品価値は殆どない。 |
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