中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第160回
中国古陶磁器 よもや話

最近ちょっと真面目な話が多くなっていましたので、
少しくだけた話を・・

私は北京に滞在していた3年ほどの期間に
結構な数量の中国古陶磁器を収集したのですが、
現在は特別高価な品を除き、その殆どを日本に持ち帰っています。

中国の文物管理法によると、
200年以上前の文物の国外持ち出しは禁止されています。

にも関わらず、私はそれらを日本に持ち出せました。
私が収集した品物には
唐時代や宋時代のものも多く含まれています。

本来なら、それを国外に持ち出した私は法律に違反した事になり、
中国の税関で逮捕されているはずでした。

それが現実にはそうならず、
キチンとした中国文物管理局の持ち出し許可の認可を受け、
大量(約200個)の古陶磁器を
日本に航空便で送る事に成功いたしました。

私は、一体どういったカラクリで
大量の古陶磁器を日本に持ち出せたのでしょうか?

すでに時効が成立していると思いますので、
ここで白状いたしましょう。
いや、全く法律には違反していないので、
時効など関係のない話でした。

まず、例え200年経っていなくても
大量の陶磁器を日本へ送るとなればとても目立ちますし、
商売と見なされ関税がかかります。
これを解決するには「日本への引っ越し便」を利用する事です。

例えば、中国において
趣味で大量の中国の古本を集めていたとします。

これを日本に送りたい、
普通の郵便で送ったり手荷物で持ち帰ろうとすると
多分何らかの面倒臭い事に遭遇すると思います。

現実にそれらは趣味で集めたもので、
日本で売る訳じゃないので商品ではありません。

でも、その証明は難しいので、
説明するだけでも面倒な事になるのです。

しかし、最終的に帰国する際に
引っ越し荷物の一部という事になった場合、
それらに対する検閲は相当簡単なものになります。

次に一番大切な古陶磁器の製作年代の鑑定なのですが、
これは文物局に頼めば有料でやってくれます。

中国で買った骨董品を
どうしても合法的に日本に持って帰りたい場合は
200年経っていない事を前提に許可印を押してくれたり、
許可書を発行してくれます。

私も、文物局の人にそれを頼みました。
私と一番仲が良かった中国人の親友が
文物局の結構偉い人だったのです。

数日後、彼は部下二人と共に私の自宅にやってきて、
私の骨董品を次々と鑑定し始めました。

一つの品物の鑑定に5秒もかかりません。
「はい、偽物」「はい、これも偽物」
「これは、民国時代の倣品「はい、これも偽物」

全ての品物に「偽物」または
「まだ200年経っていない骨董」のレッテルを貼ってくれたのです。

彼の部下の一人は事情を聞いてなかったのか、
一つ一つの品物の評価について何度も彼に問いただしていました。

どこからどう見ても明時代の青花の壺を
「清時代後期の倣品」と彼が鑑定した時に、
その部下は「これは絶対明時代だと思います」
と結構食ってかかっていましたが
「最新の研究ではこれは清時代の倣品という見方が多いんだ」
などと訳のわからない理屈よって言い含められていました。

そして、全ての品物に「持ち出し許可」の印が押され、
無事私の荷物は日本に到着する事となったのです。
私の品物が本当に全て偽物に見えたのか、
何らかの意志があって偽物と鑑定したのかは、
彼に聞いてみないとその真意は分かりません。

いずれにしても、もう10年以上前の話です。
今はそんな簡単にはいかないでしょう。

清朝後期の作品

この時期の骨董はまだ200年経っていないので、
国外へ持ち出し自由。
 
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2008年10月17日(金)

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