中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第162回
私のお気に入りの一品

今回の私のお気に入りの一品は
「北宋時代 景徳鎮窯 青白磁劃花碗」です。

景徳鎮窯は、皇帝直属の官窯として明時代、
清時代と常に中国陶磁器史の中心に位置した名窯です。

景徳鎮が官窯として繁栄し続ける事ができた理由として
第一に挙げられるのは、
近くの高嶺山(カオリンシャン)から採掘される
最高の磁器土があった事です。

真白で腰の強い磁器土(カオリン)をベースとして、
元時代には青花磁器(伊万里焼きなどで有名な
白地に青の文様の焼き物)が発明され、
明時代や清時代には
彩色絢爛な各種の色絵磁器などが生産されました。

しかし、それら絢爛豪華な官窯磁器が生み出される
全てのベースとなったのは、
北宋時代から南宋時代の景徳鎮で焼かれた
とてもシンプルな焼き物である青白磁でしょう。

粘り気があり大変腰の強い磁器土だからこそ
成型できた薄く研ぎ澄まされた造形美。
そして、透明なガラス質の釉薬。
また、釉薬の中の微量な鉄分が
酸化焼成により発色した「淡い青色」。

「淡い青色」は狙ったものではなく、
最初は偶然の産物として生まれました。

そしてこの焼き物は中国語では青白磁、
日本では影青(インチン)と呼ばれます。

釉薬が溜まった部分だけ、
かすかな青色に発色する所からそういう呼び名がつきました。

正に言い得て妙な呼び方ではないでしょうか。

今回紹介する品は正に影青を表現していると思います。

釉薬が溜まった部分の
淡い青色が影青の名の由来

腰の強い「カオリン土」だからこそ
薄く型崩れせずに成型できた

1300度近い高温で焼かれる為、
高台露出部は焼け焦げたようになっているが、
土自体は純白である
 
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2008年10月22日(水)

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