中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第171回
中国料理

今回も「中国古陶磁器に盛って映える料理」
略して、中国料理のコーナーです。

今回紹介する料理は「小籠包」です。
「小籠包」(ショーロンポウ)の起源は
清時代の上海にあると言われています。

一応「南翔大肉饅頭」という店の主人が
小籠包の原型を作ったと言われています。

私が今回小籠包を取り上げたのは、
21世紀に入り8年を経過した現在においても
「小籠包=小型肉まん」と勘違いしている人が多いからです。

先に断言しておきます。
「小籠包は小型肉まんじゃありません!」

では、小籠包の定義とは何でしょうか?
それは第一に中にスープ状の液体が閉じ込められている事です。

小籠包は、具材を作る時に
豚の皮から採ったゼラチン質の煮凍ごりを混ぜ込んでおきます。

そのゼラチン質が、蒸した時に溶けて液体に戻り、
具材の肉汁などと混じり合い芳醇な熱々のスープとなり、
小籠包を食する時にその皮を破って飛び出し、
我々の舌をやけどさせる訳です。

小籠包の評価は、
中に入っているスープ状の液体の美味しさによって決まる
と言って良いでしょう。
ですので、小籠包屋さんは色々と工夫して
中の具材とゼラチン質の取り合わせなどを考える訳です。

現在、手間のかかる豚の皮から採った
ゼラチンを使っている店はあまりなく、
普通は鶏のもみじ(つまり足)を煮て作った
ゼラチンを使う場合が多いのですが、
高級店になれば
色々な素材からとったスープをゼラチンで固めて
それを具材に混ぜ込む場合もあります。

そういう高級店の小籠包のお味は大変上品で
脂っぽくない事からいくつでも食べる事が可能です。

逆に上海の庶民的なお店の小籠包は、
いちいちゼラチンなどを入れている暇がありませんので
具材に大量に豚の脂を混ぜ込みます。

蒸すとこの脂分が分離し、
具材から出る液体と混じり合って大変濃厚な味を醸し出します。

お世辞にも上品とは言えない味ですが、
これはこれで食べたくなる味です。
ただ、これは更に熱々なので、
気をつけないと舌の皮がベローンと剥けてしまいます。

そして、小籠包でもう一つ大切なのは皮です。

中にスープが入っているのですから、
饅頭のようなフワフワした皮ではスープが浸み込んでしまい、
中のスープがなくなってしまいます。

ですので、小籠包の皮は饅頭のように
フワフワと発酵させたものではなく、
どちらかと言えば餃子に近いソリッドなものとなります。

この皮の丈夫さと美味しさも
小籠包にとって大切なものとなります。

では、実際に熱々の小籠包を食してみましょう。
まず一度、蒸したての小籠包を箸で摘んで、
口に放り込んでみて下さい。
確実に口の中は大やけどです。
何故なら小籠包の中に溜まっている熱々の汁は
100℃を超えているからです。

一度やけどを経験した所で、
小籠包の正しい食べ方を教えましょう。

まず小籠包のヒダが寄せ集められた比較的丈夫な部分を
箸で掴み持ち上げます。

そして「予想以上にタップンタップンだ」と小声で囁いて下さい。
でもまだ食べないで下さい、
この状況で皮を破いたら
あなたの口元や服はゼラチン質まみれになります。

箸で摘んだら、まずレンゲにそっと乗せて下さい。
そして、歯で皮を少し破り出てきたスープを少し味わって下さい。

スープをある程度吸い尽くしたら、
お好みに応じて生姜の糸切りと黒酢を少し垂らして
本体を口に放り込んでいただいて結構です。

さぁ、小籠包を食べに上海や香港や台湾に出かけましょう!

こちら小籠包
こちらただの小型肉まん

 

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2008年11月12日(水)

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