第176回
私のお気に入りの一品
今回紹介する、私のお気に入りの一品は
「清乾隆 豆青釉盤」です。
この作品は、清時代乾隆帝の時代に官窯で焼かれました。
乾隆帝は清朝歴代皇帝の中でも
一番の芸術好きで有名な皇帝です。
中国の8000年とも言われる陶磁器の歴史は
この清の乾隆期に頂点に達します。
それまで培われた全ての陶磁器技術が成熟の域に達し、
品質・量とも他の時代の官窯を凌駕、圧倒しました。
清時代官窯で一番栄えた焼き物は、
たいへん洗練された純白の素地に
宮廷お抱えの専門画家が絵付けした「粉彩」と呼ばれる作品です。
そのような作品は見た目にも大変精密且つ豪華絢爛で分かり易く、
中華圏コレクターの垂涎の的になっています。
価格的にも、乾隆官窯の色絵磁器になりますと何千万、
高額なものになりますと億の値がつきます。
しかし、私は個人的に清朝官窯の煌びやかな磁器に
あまり魅力を感じません。
これは、日本人コレクター全般にも言える事なのですが、
日本人はやはり詫び寂びを重んじると言うか、
地味な作品の中に見所を発見したり、
落ち着いた色合いに魅力を感じたりします。
特に日本人は宋時代以前の青磁や白磁などを高く評価しますし、
青花磁器(白地に青色だけで文様を描いた磁器)においても、
清時代の完成された作品よりも
明時代以前のくだけた作風のものを好む特色があります。
今回紹介する作品は「豆青」という単色釉が
落ち着いた発色を見せています。
正に「萌えたばかりの豆の色」を表現しています。
私は、こういう何とも表現できないような曖昧な色が好きで、
そういう作品を収集しています。
しかし、香港や中国の富豪には
こういう作品の良さが理解できないと見えて、
こういう地味な色の単色釉の作品は官窯であっても
比較的安い価格に放置されています。
もちろん、このようなシンプルな作品は
残されている量が多いせいもありますが、
他のキレイな単色釉の作品に比べても
地味な色の作品は安いのです。
今はまだ見て豪華でキレイな作品が
圧倒的に高値を誇っている中国陶磁器界ですが、
中国人がお金持ちになり洗練されていくとすれば、
こういうシンプルな官窯作品の評価も
今後上がっていくのではないでしょうか?
将来の中国人の嗜好の変化を見定め、
そのような作品を買い集めておく事で
大きな値上がり益を得られる可能性があります。
まぁ、株で言う「買いの好機」という事でしょう。
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地味で微妙な色合いだが・・ |
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清朝官窯の作品ならではの造形美 |
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底面に「大清乾隆年製」の銘款が入る
ただし、ニセモノにも入る |
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