第177回
中国料理
今回も「中国古陶磁器に盛って映える料理」
略して、中国料理のコーナーです。
今回は料理の紹介ではなく、中国の一般市民の食生活を
私の知る範囲で紹介したいと思います。
私は、北京や上海の他、広州や東北地方などの
一般中国人家庭で食事をいただいた経験がありますが、
実際に暮らした事もある上海の家庭料理について説明いたします。
まず最初に質問です。
上海の家庭料理の一番の特徴は何だと思いますか?
「甘い料理が多い事?」
「野菜料理が多い事?」
「米を食べる事?」
いいえ、違います。
「上海家庭料理の特色は、料理を旦那さんが作る事」が正解です。
上海で私がよく食事を共にする家庭は10軒ほどありますが、
その7割は毎日の夕食を旦那さんが作ります。
私の親戚の家庭に限れば、夕食作りは10割が旦那さんの役割です。
北京ではそんな事ありませんでしたので、
これはやはり上海の特色なのでしょう。
何故そうなるかと言えば、
一つはどの家庭も共稼ぎという事。
思想的に言えば、中国において
男女同権の意識がしっかりと根付いている事。
現実的言えば、上海では女性が男性よりも
圧倒的に強い事が挙げられると思います。
簡単に言えば
「嫁さんが怖い、怖すぎる」という事です。
大体、共稼ぎで男女同権なら
家事も半々で分担すべきでしょう。
しかし、上海の男性は炊事だけでなく
掃除や洗濯までやらされております。
彼らはこう叫びたいでしょう
「これのどこが男女平等だ!」
話が脱線しました。
中国の家庭料理は基本的に全て中国料理です。
他の国の料理を模倣したおかずに
チャレンジするような事はまずありません。
ですので、どの家庭にお邪魔しても
日本の家庭のようなおかずのバリエーションはありません。
上海の全家庭を合わせたおかずの総数は多分30種以内、
その中でお客様が来た時に作る特別なおかずを除いた、
純粋な晩御飯のおかずは15種類となります。
「となりの晩御飯」風に上海の家庭に乗り込んでみましょう。
まず、70%の確率で食卓に上っているのは
「トマトと卵の炒め物」です。
これは、まず卵を炒めトマトを投入し
塩・化学調味料・多目の砂糖で甘めに調理します。
トマトの酸味が上手く甘みと調和し、
ある意味毎日でも食べられる味となります。
同様の確率で見られるのは「青菜の塩炒め」でしょう。
青梗菜(日本の青梗菜よりも小さくて旨みが強い)や
空心菜(茎がストローのように空洞になった青菜)や
豆苗(豆の新芽)などを
強火で塩炒めするだけのシンプルな料理です。
日本で言えば「野菜のおひたし」のような感覚でしょうか。
その他、上海の家庭でよく作られる料理は
「まこも竹と豚肉の炒めもの」
「高菜とイカの炒め物」
「骨付き豚肉の煮込み」などです。
あと、私が大好きなのはターンオーバーで焼いた目玉焼きを
中国醤油と砂糖で甘辛くからめた料理です。
道端の弁当屋にも必ず置いてあります。
あの甘辛い味付けこそが上海料理の基本的な味付けで、
上海料理で有名な「トンポーロウ」(皮付き豚の醤油煮込み)
なども同じく甘辛い醤油味です。
「上海料理=あっさりとした海鮮料理」
というイメージを持たれている方も多いのですが、
それは間違いで、実は伝統的な上海料理は
醤油と砂糖の味が強い、しつこく甘辛い料理が多いのです。
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甘辛い、豚肉の角煮も上海料理 |
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