第178回
古陶磁器界のバフェット
株の世界と言いますか、
米経済界で崇拝されている人物に
ウォーレン・バフェットがいます。
ウォーレン・バフェットは、
オバマ次期大統領政権の財務長官就任が
噂されているほどの人物ですが、
実は中国古陶磁器界にも
ウォーレン・バフェットに負けるとも劣らない
巨人が存在いたします。
その人の名は、
サー・パーシヴァル・デイヴィット(1892〜1964)です。
中国古陶磁器界において、
デイヴィットが成し得た功績は計り知れません。
現在中国圏以外、特に欧米に
無数の熱狂的な中国古陶磁器コレクターが存在するのも、
サザビーズやクリスティーズなどの有名オークションで
中国古陶磁器に強烈な価格がつく事も、
その原点を探れば全て
サー・パーシヴァル・デイヴィットに行き着きます。
デイヴィットは、
中国以外の国で最初に現れた
熱心な中国古陶磁器コレクターであり、
且つ第一級の研究家でした。
熱心な中国古陶磁器コレクターと言えば、
清朝皇帝「乾隆帝」もその権力を利用し
中国中から骨董品を集めたという事で有名ですが、
デイヴィットには敵わないでしょう。
私の独断ですが、歴史上一番熱心な
中国古陶磁器コレクターと断言しても良いと思います。
では、簡単にしか説明できませんが、
サー・パーシヴァル・デイヴィットが
何をやったのかについて説明いたします。
もともと、中国陶磁器の高級品は
外国人にとっても大変魅力のあるものでした。
それが、清朝末期になるとアヘン戦争の勃発などから
海外列強が中国入りし、
人の目に触れること無く、故宮に放置された
歴代皇帝の収蔵品の存在に気づく訳です。
その当時、中国古陶磁器に興味を持つ人が
どの程度いたのか知る由もありませんが、
やはり大勢の人物がこの故宮の宝物に
強い興味を抱いた事は間違いありません。
それらの人がそれぞれの策略を立て、
いかに合法的に歴代皇帝の収蔵品を奪い去るかに奔走しました。
それは、外国人だけではなく、勿論中国人もです。
歴代皇帝の収蔵品にどの程度の金銭的価値があるかを
皆知っていたのです。
しかし、清朝末期の宮廷は乱れ、
当時の皇帝は海外列強の相手と身内の政争に追われ
歴代皇帝の収蔵品などに関心を払うような
優雅な生活をしている場合ではありませんでした。
また、残虐さで有名な西太后などは宮廷の財政難の為に、
銀行からの借金の担保として故宮収蔵品を差し出したような状態、
ラストエンペラー溥儀も多くの収蔵品を持ち出したと聞きます。
そして、清朝崩壊から中華民国の誕生の混乱期になると、
故宮の収蔵品は整理されず故宮の倉庫に
乱雑に放置されたような状態となります。
その時期に中国に乗り込んだ
サー・パーシヴァル・デイヴィットは
中国側に故宮収蔵品の整理と展示会開催を申し出ます。
それを成功させ、一気に中国側とのパイプを作り上げます。
その後、合法違法、どのような手法をとったかは知りませんが、
デイヴィットは故宮から拡散した
大変貴重な中国古陶磁器を手に入れる事になります。
西太后が担保に差し出した作品なども、
他の競合者との命がけの争いに打ち勝ち、入手しています。
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清朝の崩壊後、故宮の収蔵品は色々なルートで拡散した。
それを奪い合う人々の中でデイヴィットは
多くの貴重な中国古陶磁器を入手する事に成功した。 |
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