中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第180回
ハイハイ天さん、天さんデス

○今回の依頼者

[ハンドルネーム] ピカイア
[近年愛するもの] 苔と石 黙して語らず(ないものねだりです)

ピカイアさん、4回目の登場です。

○依頼文

疑わしきふくらみの白、青二品鑑定よろしくお願いします。

白・・・十年近く前です。
    骨董店にて、アーラこの腰のふくらみ加減
    よろしいんじゃない。
    白化粧はもうちょっと厚化粧してくださったらいいのに。
    てっせんとかススキ、紅葉。活けてみよう!
    そのときの手持ち金3万円ぐらいでしたので、
    これでお願いって申しましたら、
    えーって驚きつつ、
    店員さんは店主に電話してOKとなり、私の手元に。
    店員さんのお話はまったく聞いていませんでしたので、
    これがどこの何なのか、よろしく御教示くださいませ。

青・・・古くからの知り人ひとり、
    我が家を訪れ、コーヒーをすする。
    アールヌーボーのカップに奥さんらしいと一言残す。
    私ってデカダンス?と独り言ちる。
    翌日、この水注を私にとどけてくれた。
    これってコーヒー代ね。と頷く私。
    というわけで私の入れたコーヒーのお値段は
    おいくらでしょうか。
    これには、ひびが入っています。
    ひびの入った磁器はだめって、
    天青庵さま述べられていましたね。

よろしくお願いいたします。

○鑑定結果

ピカイヤさん、またまた判定に困る焼き物を送ってきましたね。
依頼の二品はどちらも
宋時代景徳鎮で焼かれた青白磁だと思います。
白い方は元時代に入っているかも知れません。
ただ、現物をみていないので
「100%本物だ」と断言できない部分もあります。

何故なら、今や景徳鎮青白磁の贋作は
それこそ芸術品レベルに達していて、
造形・釉色・風化の具合、底面から見える
胎土の焦げ具合まで
殆ど完璧にコピーしている最高レベルのものが存在するからです。

私は実際に、北京の贋作業者が
そのような高レベルの贋作を
骨董店に卸していたのを見た経験があるので、
それ以来その手の作品に対しては必要以上に神経質になります。

青白磁器について一つ言える事は、
本物は非常にカセ易く(土中で侵食されやすい)
中国の博物館などに現存する作品を見ても、
大きくカセているものが多いくらいです。
そして、中国本土にもこの手の作品の優品は
ゴロゴロと転がっていないにも関わらず
古陶磁器市場には宋時代の青白磁が
あり得ない低価格で結構な量流通しています。

これは何を意味するかと言えば、
状況的に見て、流通している青白磁の相当な割合が
贋作であるという事です。
例えば、ネットオークションなどで取引きされている
宋時代の青白磁の殆どが贋作です。

そういう意味もあって、
青白磁器の本物までも
不当に安い価格で放置されている可能性があります。
依頼品では「青」の方が価値が高いのですが、
割れているのが残念ですね。
割れていなければ、日本では20万円ぐらいで
取引されているのではないでしょうか?

宋時代の青白磁は今の中国株と同じで、
糞味噌一緒に安値に放置されていると言えます。
そういう状況の中、
そこに稀に混ざっている数少ない本物の宋時代の青白磁には
本来もっともっと金銭的価値があっても良いと思っています。

○結論
ピカイヤさん、
ようやく本物と思われる陶磁器を見せていただきました。
次回の鑑定お待ちしています。


○依頼品紹介

依頼品(青)

この釉色のものは評価が高い
ただ割れているのが残念
依頼品(白)

こういう青白磁は評価が低い
 
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2008年12月3日(水)

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