中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第206回
ハイハイ天さん、天さんデス

○今回の依頼人

[ペンネーム] bone china
[年齢]    50代
[職業]    建設機械メーカー(中国北京勤務)
[趣味]     中国骨董収集

○依頼文

北京在住10年の者です。
HPやコラム、いつも楽しく拝見させていただいております。
私はもともと日本の古い焼き物(伊万里など)が好きでしたが、
中国に転勤になりそれ以来中国の焼き物に嵌っています。

休日には、北京を離れわざわざ河北省や河南省まで
骨董探しに出かけるほどの熱の入れようです(笑)
依頼品のうち瓶の方は河南天目だと思いますが、
もう一つの小壷の年代や産地が分かりません。
鑑定宜しくお願いします。

○鑑定結果

さすが腰の据わった収集家の方だけに、
依頼品もしっかりとした古陶磁器です。

両方とも濃い茶色の発色ですが、焼かれた時代は全く異なります。
瓶の方は、元時代頃に焼かれた所謂「河南天目瓶」です。

日本では、宋時代〜元時代頃に中国北部の磁州窯などで焼かれた
黒っぽい焼き物を総じて「河南天目」と呼ぶ習慣があります。

依頼品は河南天目の特徴をよく現した
ベーシックな一品だと思います。

河南天目の黒い釉薬は欧米では「ミラーブラック」と呼ばれ、
艶がある程価値が高くなります。
河南天目には真っ黒な焼き物もありますが、
その黒い釉薬の上に茶色の鉄釉が掛けられていたり、
それで文様が描かれている場合もあります。

一番価値が高いのは「ミラーブラック」の上に
茶色の釉薬で文様が描かれたものです。

依頼品の河南天目瓶はそう珍しいものではありませんが、
日本で買えば10万円ぐらいはするのではないでしょうか。

小壷の方は時代がもっと古くなり、
唐時代頃に焼かれたものだと推測いたします。

価格的に数万円ぐらいのものですが、
形も面白く私はこちらが好きです。

二つの焼き物は良く似た焦げ茶色ですが、
釉薬の成分と焼成技術が全く違うので、
焼き上がりの雰囲気が異なっています。

○結論

どちらも、時代の経過が良く分かる自然な古色がついています。
偽物によくある「わざとらしい汚れや古色」ではなく、
本物の古陶磁器の古色はこういう雰囲気だ
という典型的な二品です。

本物の古陶磁器を選択する上でその模範となるような品ですので、
皆様も是非参考にして下さい。

依頼品
同じような茶色の焼き物だが
左が元時代、右は唐時代の焼き物

瓶の方の底面
元時代の特色を示している

偽物には真似ができない古色がある
 
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2009年2月2日(月)

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