第207回
中国古陶磁器 名品紹介
今回紹介する名品は京都国立博物館収蔵の
加彩婦女立俑(かさいふじょりつよう)です。
(解説リンク)
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高49.2cm 唐時代(8世紀)の作品
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まずこのような唐時代の女性の俑(人形の意)として有名なものは
「唐三彩」でしょうが、
これは「加彩陶」と呼ばれる焼き物です。
今回紹介する名品は数ある唐時代の女性俑の中でも、
そのふくよかで丸みのあるラインが
最高に素晴らしい一品だといえるでしょう。
加彩陶と唐三彩の違いを説明しますと
唐三彩の方は一度素焼きした人形に
鉱物を原料とした釉薬を流しかけもう一度窯で焼いたものです。
それ対し、加彩陶は素焼きの焼き物に
絵の具でペインティングしただけのものです。
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こちら唐三彩
釉薬での彩色はリアル感ではなく
芸術性を表現したもの
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つまり、唐三彩はあくまでも
大まかな芸術性を表現したものであり、
加彩陶はリアルに細部まで彩色したものだという事です。
ただし、加彩陶の方は焼き物に絵の具で彩色しただけですから、
作られて1400年近く経った現在、
絵の具の色は殆ど剥がれ落ちてしまって、
作られた当時の面影は残っていません。
残されているのは、頬と口の紅、
また髪の毛の黒色ぐらいのものです。
しかし、作られた当時は見事なまでに
極彩色で塗り分けられていた訳ですから、
その元の姿を想像する事も
加彩陶を楽しむ一つの方法と言えるでしょう。
あとよく言われる事なのですが、
唐時代の頃はふくよかな女性が美人の条件だったようで、
それを反映して女性俑の多くは
ふくよかな女性の姿を象っています。
そのようなふくよかな女性の焼き物は
胖姑娘(パンクーニャン)と呼ばれ
コレクターの間では大変人気となっています。
もし、中国でこのような焼き物に出会った場合は
できるだけ太った女性を選んで下さい。
太っていればいるだけ高い価格で取引きされるのが
女性俑の焼き物の特徴です。
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