中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第216回
中国古陶磁器オークションより

今回は、私が実際にオークションに参加し、
印象に残った逸品を紹介いたします。

今回紹介する陶磁器は1996年北京で開催された
「中国嘉徳オークション」に出品されたものです。

明時代永楽期の最高水準の青花磁器


13年前にも関わらず
3660万円でハンマープライス!

この作品は、明時代永楽期(1403〜1424)の間に
景徳鎮にあった皇帝の窯(官窯)で焼かれた磁器です。

これは蝋燭の台として利用するもので輸出用として焼かれ、
多分その器形からイスラム圏へ輸出されたものでしょう。

この品は、当時のレートですが
日本円3660万円で落札されています。

まだまだ経済発展が為されていない十年以上前に
この価格がついた訳ですから、
今なら億の値が付いても全くおかしくはないでしょう。

古陶磁器に興味がない方は
「こんな特徴のない焼き物になぜ3660万円という価格がつくんだ?」
と不思議に思うでしょうが、
現実に多くの人間が競い合って買う訳ですから、
この焼き物にそれだけの価値がある事に間違いはありません。

この作品の予想落札価格は150万元〜200万元でした。
それが300万元を超えるまで競り上げられたのです。

その時は私も「なぜ?」グループに属していたのですが、
今となってみると
先を争うように買っていた人の気持ちがよく分ります。

その理由の一つは、
焼き物自体がその時代の最高クラスの傑作だったという事。

明の永楽期と言えば、
元時代に開発された青花磁器
(紹介の作品のような白地に青の文様を描いた磁器)
が洗練された時期であり、
その中でもこの作品はそれを代表するような出来栄えであり
人々の関心を集めました。

もう一つは、この作品は
「中国美術全集」に掲載されていた経緯がある事。

そして、一番肝心なのは
「この作品を今買っておけば
10年後には間違いなく3倍の価格になるのでは?」
と多くの人が期待した事でしょう。

芸術品オークションと株は似ています。
価格=現物の評価+将来の価格上昇への期待感なのです。
どちらかが抜けると中途半端な価格になってしまいます。

 
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2009年2月25日(水)

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