中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第219回
中国古陶磁器オークションより

この作品は2001年に2億円に近い金額で落札されました。
今では更に倍ぐらいの価格がつくかも知れません。

陶磁器に興味がない人でも、
まずこの作品を一見すれば「コレ本当に焼き物?」
と言った感想を持つのではないでしょうか?

そうです、これは焼き物ではなく
「堆朱」というジャンルの工芸品なのです。

「堆朱」と言うのは、器物に何層も漆を塗り重ね、
乾燥後それを細かく掘り込んで文様を表す技法の事をいいます。

故宮博物院にも明〜清時代の素晴らしい
「堆朱」の名品が沢山残されています。

中国では、焼き物と同時に漆工芸の技術も
大きく発展していったのです。

しかし、残念ながらこの作品は「堆朱」ではございません。

実はやはり「焼き物」なんです。
しかし、どこからどう見ても「堆朱」に見えるこの作品を
「実は焼き物だ!」と言っているのに誰もビックリしてませんね。

これが本物の堆朱です。

清朝乾隆帝の時代になると、
陶磁器製作の技術は正に究極に達し
「もはや焼けないものはない」という域に達していました。
そこで皇帝は官窯で働く名工達に無理難題を押し付けます。

「焼き物以外の工芸品を陶芸の技法を用いて完全にコピーしろ」
官窯の職人達は、こんな難題にチャレンジし、
見事にそれに成功したのです。

例えば、下の木製の桶のような作品も実は焼き物なのです。
「別にわざわざ木の桶を陶磁器で作らなくてもいいじゃんか」
と誰もが思う事でしょう。

でも、通常の焼き物に飽きてしまった皇帝を喜ばせる為に、
清朝全盛期の陶工はこういう事にも
情熱を傾けなければならなかったのです。

それにしても、清朝乾隆帝の時代
つまり中国古陶磁器全盛時代の焼き物の技術は凄いですね。
今の時代、これを再現できる陶工はまずいないでしょう。

 
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2009年3月4日(水)

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