第238回
ハイハイ天さん、天さんデス
○今回の依頼者
[ペンネーム] あむ
[年齢] 20代後半
[住まい] 神奈川県
[趣味] 株式投資
[職業] 製造業
○依頼文
いつも楽しく拝見しております。
早速ですが、一点鑑定をお願いしたいものがございます。
先日上海へ出張に行きまして、
その際の土産に露天商で購入したものです。
最初は3000元と言われたのですが、
手持ちもそれほど多くなかったため無理と言い続けたところ、
最終的に800元となりました。
大清乾隆年製らしき銘款は見られますが、
これまでに紹介された乾隆年製は
模様のものはあまり見られませんでしたため
後学のために御教授お願いできませんでしょうか。
宜しくお願いいたします。
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依頼品
一見、細かく丁寧な仕事に見えるが
本物の官窯品にある「本物の繊細さ」がない
また、使われるエナメル質の釉薬も現代的 |
○鑑定結果
これは、典型的な「お土産」です。
上海なら上海博物館のお土産コーナーなどに行けば、
同種のものがたくさん並べられていると思います。
多分、お土産コーナーでも数百元で売っている品でしょうから、
もっともっと安く仕入れている露天商にとって
800元という価格は十分喜ばしいものだったと思います。
この手の焼き物は「粉彩」というものです。
「粉彩」の特徴は、当時ヨーロッパで流行していた
無線七宝で使われていたエナメル質の釉薬を流用した事です。
それにより、今までの中国古陶磁器では為し得なかった
微妙な色彩表現と繊細な描写が可能になりました。
「本物の官窯品とどこが違うのか?」と言われても、
全ての質感が全然違いますので説明するのが大変です。
一つ言える事はもしこれが本物の乾隆官窯品なら
数千万円はするという事です。
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こちら、本物の乾隆官窯製「粉彩」 |
○結論
「これまでに紹介された乾隆年製は
模様のものはあまり見られませんでした」と言われる通り、
私が所有している乾隆官窯製の作品は全て単色彩です。
何故かと言えば、単色彩は比較的安いからです。
乾隆官窯製の粉彩となれば安くとも数百万、
高ければ億を超えます。
古陶磁器収集でまず大切なのは、
品物の正確なマーケットプライスを掴んでおく事です。
何千万円の品が街中で数百元で売られている事など
絶対にないのです。 |